著者
森永 茉里 赤井 秀行 坂井 武司
出版者
九州ルーテル学院大学人文学部心理臨床学科
雑誌
心理・教育・福祉研究:紀要論文集
巻号頁・発行日
no.22, pp.63-74, 2023-03-31

今日の小学校教育では,通常の学級における特別な教育的支援の重要性が高まっている。しかし,小学校教員の特別支援学校教諭免許状の取得率は10%程度であり,特別支援教育の専門性を背景とした指導や支援の実現に課題があると考えられる。そこで本研究では,小学校第1学年の学習内容である加法と減法に焦点をあて,通常学級で使用される教科書と知的障害者用教科書の比較を通じ,通常学級での算数科指導における支援への示唆を得ることを目的とする。加法と減法の学習手順に即し,①場面の把握,②立式,③演算の3つの観点からそれぞれの教科書を比較及び分析した結果,①操作によって場面を動的に捉えさせる指導,②学習をスモールステップで進める指導,③演算手順の中の視点の移り変わりに配慮した指導,という3つの指導上の工夫が,通常学級においても学習支援として機能する ことが明らかになった。