著者
坂本 公也 永田 真 保谷 功 井上 憲一 木内 英則 坂本 芳雄 山本 恵一郎 土肥 豊
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.840-845, 1993

十分量のステロイドを含む薬物療法によっても鎮静し得ず, therapeutic awakeningを試みることにより改善が得られた気管支喘息の1例を経験したので報告する。症例は33歳の女性で17歳発症の気管支喘息である。重積発作のため近医へ入院したが, 症状の改善が得られず当科へ転送となった。種々の治療により喘息症状の軽快が得られ, 順調に経過していたが, 再度早朝から始まる喘息発作が頻発するようになった。就寝前の気管支拡張剤およびプレドニゾロンの十分量の投与等を行ったが, 喘息発作の改善は得られなかった。therapeutic awakening, すなわち患者を午前3時に治療的に静かに覚醒させサルブタモール2.5mgの吸入投与を行ったところ, 自覚症状および理学的所見の速やかかつ著明な改善が得られた。治療抵抗性のmorning dippingに対して, therapeutic awakeningは試みる価値のある治療手段の1つであると考えられた。