- 著者
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坂本 友子
由比 顕之介
- 出版者
- 九州女子大学・九州女子短期大学
- 雑誌
- 九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.4, pp.31-40, 1997-03
幹線道路沿いの二酸化炭素濃度に及ぼす交通量との要因の関与を解明するために、また北部九州にある2都市の地勢、気象要因、交通量が二酸化炭素濃度に与える影響を解明するために、北九州市31ケ所、福岡市11ケ所におけるテドラバック水酸化バリウム法による二酸化炭素濃度の測定を行い次の結論を得た。1.北九州市の住宅地における幹線道路沿いの二酸化炭素濃度を測定の結果、国道3号線沿いでは384ppm、199号線沿いでは381ppmであった。両国道の値は近似していた。また道路沿いのマンション屋上(30m)での二酸化炭素濃度は406ppmで国道沿いの平地(1.5m〜2.0m)と差が見られなかった。2.交通量に差がある北九州市と福岡市についての昼及び夜の二酸化炭素濃度は、北九州市の昼間の二酸化炭素濃度は375ppm、夜間は432ppmで昼間より夜間に高い値を示した。一方福岡市においては昼間は409ppm、夜間は374ppmであり交通量との間に有意な相関が見られた。北九州市では交通量が減少する夜間に二酸化炭素濃度の有意な増加が見られたことから、交通量の影響は小さいことが考えられ、他の要因が影響したものと考えられた。3.福岡市では風向が東または南東の風のとき二酸化炭素濃度が高値を示し、北九州市では北または北西の風のときに二酸化炭素濃度が高値を示した。風力に関しては両市とも風速2.1m/s以上のときに二酸化炭素濃度は低下し、北九州市では有意の低下を示した。降雨については両市とも降雨の後に有意な低下が見られたが、緑化率が60%の北九州市の方が福岡市より低下が大きかった。福岡市では気象条件による二酸化炭素濃度の変動は少なかったが、北九州市では降雨、風力、風向のすべてと関係が見られた。北九州市と福岡市の変動要因には差があり、都市によってそれぞれ地域特異性があるものと考えられた。