著者
下田 妙子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.15-23, 2000-09

アトピー性皮膚炎患者13名に対して低n-6PUFA食を約4ヶ月間施行した。その結果、食事療法後、摂取脂肪が有意(p<0.05)に減少し、その結果、脂肪酸も有意(p<0.05)に減少した。脂肪酸のうち、一価不飽和脂肪酸(MUFA)は有意(p<0.05)に減少し、多価不飽和脂肪酸(PUFA)は減少傾向を示した。食事中のPUFA,飽和脂肪酸(SFA)の摂取量およびn-6/n-3比は、有意ではないものの食事療法後低下した。食事療法を実施した患者に対して食事療法前後での血中脂肪酸値を比較すると、イコサペンタエン酸(20:5 n-3 EPA)、ドコサヘキサエン酸(22:6 n-3 DHA)は有意に上昇し、リノール酸(18:2 n-6 LA)は有意に低下した。その結果、血中n-6/n-3比およびAA/EPA比は治療後有意(p<0.001)に低下した。皮膚症状は個々の患者によって程度の差はあるものの改善効果が示された。以上の結果から、低n-6系列多価不飽和脂肪酸食による食事療法は皮膚症状や血液生化学的データを改善するものとして、今後、アトピー性皮膚炎患者の食事療法として有用であることが示唆された。
著者
八板 昭仁 七森 浩司
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.1-9, 2005-02

バスケットボールのゲームでは、チームのボール保持によって攻撃と防御が交互にまたは連続的に行われる。このようなゲームにおける攻撃と防御の切り替えは、バスケットボールの特徴的なプレーということができるであろう。その中速攻は、防御から攻撃への早い局面転換や得点地域へ早くボールを進めてショットする特性を持っており、短時間に多くの得点が可能となる第1攻撃法といわれている。本研究は、バスケットボールのゲームにおける攻防の転換局面においてバックコートでボールを獲得したチームのボール獲得方法と攻撃形態の関係および、フロントコートへボールを進める時間と攻撃形態の関係について調査することとした。調査対象は、女子大学生の全国トップレベルのチームであり、全日本学生バスケットボール選手権の決勝リーグの6試合12チームとした。調査の結果、全攻撃数における速攻の割合は18.4%であり、ボール獲得方法別の速攻の割合は、スティール56.0%、リバウンド27.5%でありスティール、リバウンドにおいて速攻の出る割合が高かった。また、ボール獲得からボールがセンターラインを越えるまでの時間は、速攻の約60%が3秒未満であり、3秒未満でボールをフロントコートへ進めた時の速攻になる確率は、ボールをフロントコートへ3秒以上かかって進めたときの約4倍であった。速攻をスタートするチャンスは原則的には、ボールの保持が転換するごとにあり、その転換局面が不意であるほど効果的なチャンスになるが、リバウンドやその他の方法によるボールの獲得から、ファーストパスの距離や速さといった防御から攻撃への素早い局面転換が必要となり、ボール獲得から概ね3秒でボールがセンターラインを越えることがその目安になると考えられる。
著者
岡田 三津子 長谷川 勝久 小橋 愛子 鈴木 弥生 原之薗 裕三枝 大田 恵子 筒井 康子 角田 智恵美 岡 敏江
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.63-78, 2008

昨年、我が国では10〜20代を中心に麻疹が流行し、高校や大学の休校が相次いだ。九州女子短期大学および九州女子大学では、麻疹対策のために2007年と2008年に無料で学生に抗体価測定を実施した。抗体測定にはHI法またはEIA法を用い、麻疹抗体が陰性と判定された学生(HI抗体価:8未満、IgG抗体価:4未満)に対してはワクチン接種を勧奨した。本研究では九州女子短期大学養護教育科に所属する学生の麻疹ウィルス抗体保有状況を把握するために質問票調査を行った。麻疹の既往や過去のワクチン接種に関しても同時に調査した。質問票の回収率は94.5%だった。解析の対象はウィルス抗体価を測定し、質問票に回答した九州女子短期大学養護教育科学生209人であり、そのうちHI抗体価測定者は70人、IgG抗体価測定者は139人いた。HI抗体価を測定した学生の約47.9%が8以上で陽性と判定されたのに対し、IgG抗体価測定者では、約77%が抗体価4以上で陽性あった。HI抗体価においてもIgG抗体価においても麻疹の既往は抗体保有に関連している傾向があった。幼児期の麻疹ワクチン接種は、麻疹の既往のない学生において、抗体保有との関連が認められなかった。一方、例数が少ないが、麻疹既往がある学生においては幼児期ワクチン接種者のほうが抗体価の維持ができていない可能性が示唆された。
著者
國丸 香織 島田 侑紀子 徳留 千恵美 屋代 彰子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.1-9, 2009

高齢者では咀嚼機能の低下により摂取する食品が制限されることから低栄養のリスクが高まることが知られており、咀嚼困難者のために調理法の工夫等による軟菜食やソフト食などが考案されている。そこで、本研究では、高齢者には食べにくいとされるが良質なたんぱく質源である肉類(鶏肉・豚肉)を用いて、咀嚼筋活動の側面から食べやすさを明らかにすることを目的とした。被検者はう蝕及び口腔内疾患のない健常な女子学生3名とし、ホルダー筋電計を用いて左右の側頭筋及び咬筋の筋放電量を測定し、咀嚼時間、咀嚼回数、全筋放電量、咀嚼当たりの筋放電量から食品の食べやすさを評価した。豚肉料理はポークソテー、生姜焼き、ごましゃぶなどの調理法においても鶏肉料理の親子丼より噛み応えがあった。しかし、噛み応えのある豚肉でも薄切り肉の使用やすりおろし生姜による前処理によって鶏肉と同様に軟らかく食べやすくなることがわかった。一方、鶏挽肉を使用した親子丼などの噛み応えのないものは咀嚼筋活動は少ないものの、飲み込むまでの時間が長くなることから、噛み応えのないものが食べやすい食品であるとは必ずしも言えないことがわかった。
著者
池田 稜子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.19-32, 1995-12

偏食傾向の実態を把握するため、園児(3〜6歳)及び大学生(18〜22歳)を対象としてアンケート調査を実施した結果、以下の点が明らかとなった。1.園児の約90%、大学生の約66%が嫌いな食品を有していたが、その食品の嫌偏食傾向は園児より大学生の方が強いことが示唆された。2.食物に対する好偏食傾向は園児、大学生ともに極めて低く、両者間に有意差は認められなかった。3.偏食食品に対して園児は「なんとなく嫌い(食べず嫌い)」、大学生は「味やにおい」が最大の嫌いな要因であった。4.好き嫌いの多い偏食児の男児は、女児に比してより「甘えん坊」型が多いことが示唆された。5.大学生に対する調査から偏食の矯正時期として中学生時代が最も多いことが分かった。
著者
八板 昭仁 濱 賢次郎
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.33-42, 1999-02

筆者らはこれまで女子大学生及び女子高校生(以下それぞれを大学生、高校生と省略する)を対象にバスケットボールのゲームにおける各局面において、ボール獲得状況が、そのボール保持の攻撃結果に影響を及ぼすことについて調査を重ねて報告してきた。大学生、高校生ともにボールの獲得と攻撃終了形態の間には有意な差が認められた。しかし各ボールの獲得と攻撃終了形態の関連において、局面転換における時間的な経過が攻撃終了形態に与える影響は、とりわけショット成功について異なった傾向がみられた。そこで本研究は、これまでの報告の結果から攻撃開始エリアと攻撃終了形態の関連について、高校生における攻撃開始エリアが攻撃結果に及ぼす影響は、大学生と異なった傾向がみられるという仮説を立てその検証を行った。データは攻撃開始エリアと攻撃終了形態をクロス集計し、全体的な頻度によって独立性の検定を行い、各チームのデータは攻撃終了の3形態のそれぞれについて重回帰分析法による統計処理を行った。各攻撃終了形態についての重相関係数はF値を算出し、各変数間の偏相関係数についてはt値を算出し有意性の検定を行った。また、各攻撃終了形態におけるボール獲得状況の度数分布については、x^2値を算出し独立性の検定を行った。高校生における全体的な度数分布の分散傾向から攻撃開始エリアと攻撃終了形態の関連は低く、大学生とは異なった傾向が認められた。攻撃開始エリアがバックコートエリアの場合において攻撃終了形態(特にターンオーバー)に影響がみられ、ショット成功とショット失敗の割合にも差が認められた。高校生においては攻撃開始エリアが攻撃するゴールに近くなればショット成功率が高くなり、遠くなれば防御側が隊形を整えるための時間的余裕ができ防御することが可能になるため、ショット失敗の割合が高くなり、ターンオーバーにも影響を及ぼす傾向がみられた。
著者
松丸 智美 奥村 幸恵 山形 知広 力武 史郎 滝口 靖憲 石橋 源次
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.1-11, 2003-09

本研究は、ヒアルロン酸を添加したプリンおよびゼラチンゼリーの嗜好に及ぼす影響について検討した。ヒアルロン酸のみかけの粘度は、グアガムおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の粘度よりも高い値であった。ヒアルロン酸を添加した飲料水の嗜好性については、グアガムおよびCMCを添加した飲料水と比較した結果、最も良いと評価された。ゼリーとプリンでは、一般に基準とされているゼラチン濃度および卵使用量をできる限りヒアルロン酸、グアガムおよびCMCと置換して調製した結果、ヒアルロン酸添加ゼリーの硬さ、咀嚼性および付着性のテクスチャー特性値はグアガムおよびCMCよりも高くなった。パネルによるヒアルロン酸添加ゼリーの舌触り、飲み込みやすさおよび残留感はグアガムおよびCMCよりも高い評価であった。
著者
塚本 貞次 水崎 幸一 吉田 紀夫 石本 陽子 坂田 良子 唐崎 裕治
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.11-21, 1998-03

著者らは、ニンニク(Allium sativum L)の鱗茎中に耐熱性のタンパク質が存在することを見い出した。このタンパク質の精製は、90℃、30分間の熱処理、ゲル濾過法、DEAE-トヨパールカラムクロマトグラフィーで行った。この精製物は、ディスク電気泳動で単一バンドを示し、ゲル濾過法により分子量は、20kDaと測定された。さらに、SDS-スラブーPAGEでは、分子量は11kDaであった。このタンパク質は、ダイマーであることがわかった。アミノ酸組成の特徴は、酸性アミノ酸とそのアミドが約30%も含まれることであった。N-末端アミノ酸配列(1-36)を決定し、他のタンパク質との相同性を調べた結果、スノードロップやラムソンのレクチンに類似していた。さらに、Van Damme, J.M.他がcDNAから推定したニンニクのレクチンと、ほぼ一致した。また、このタンパク質は、ヒトの赤血球を凝集させた。以上のことより、このタンパク質は、レクチンであると確認した。ニンニクのレクチンは、収穫期である6月頃に含量が高く、月日の経過とともに減少することもわかった。
著者
時枝 久子 福司山 エツ子 徳田 和子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.11-30, 1998-09

若年単身女性の食生活の実態を把握することを目的として、女子大生の身体および生活状況や食に関する意識について、2地区(A、B地区)別による比較を行い次の結果を得た。(1)最近の身体状況では両地区全体で「体がだるい」「目覚めが悪い」「便秘」を多くの学生が挙げている。生活状況は、平日の睡眠時間は全体で6〜7時間の割合が高く、両地区とも睡眠は概ねとれている。起床時間は全体で7〜8時の割合が高いが、A地区に比べてB地区の方が起床時間が早い。ここ1年間の体重の変化は全体で「変わっていない」と回答した者が多い。また「運動習慣はない」割合がA地区で特に高い。(2)食習慣は、朝食の欠食は全体的に少なく、B地区が特に少ない。また、居住形態別では両地区とも寮生の欠食が少ない。食事摂食回数は「3回」が高い割合を示し、特にB地区の全体と寮生が高い。食事は美味しく食べている者が多く、食事に対する意識は両地区とも高く、A地区は健康とダイエットが配慮され、B地区は健康に対する配慮が強い。(3)食品摂取状況は、肉・魚類の摂取ではやや肉類が多い。特に両地区とも自炊生にその摂取の割合が高い。卵は全体では1日1個の摂取はないが、B地区の自宅生は摂取の割合がやや高い。大豆製品は全体では週に「1〜2回」の割合が高いが、B地区の自宅生に大豆製品の摂取が多い傾向にある。牛乳の摂取量は両地区とも少ない傾向にある。乳製品はヨーグルトが好まれるものの、摂取は隔日が多い。油物の摂取は全体で毎日「2〜3回」の割合が高い。野菜類は緑黄色野菜、淡色野菜とも普通にとっている。飲み物は清涼飲料水を「殆ど飲まない」割合が高く、茶類が飲まれている。A地区はウーロン茶が多く、B地区は緑茶が多く飲まれている。飲酒は全体では低いが、自炊生に時々飲む傾向が見られる。(4)昼食の状況は全体で外食と手作り弁当がほぼ半々であるが、両地区とも寮生に外食の割合が高い。昼食の主食は両地区の自宅生と自炊生に米食が多く、寮生にパン食が多い。昼食の予算は全体で「300〜400円」の割合が高かった。(5)日常食の料理の嗜好は肉類を素材とした料理が好まれ、野菜が中心で特に香味野菜を使用した料理を好まない傾向にある。
著者
武藤 慶子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.9-18, 1996-03

家庭における日常食は調理簡便化の傾向が進み、どの家庭でも食生活は外部化された現状にある。本調査は、家庭における日常食の調理簡便化の実態の把握と、食の伝承の把握方法として日常食の調理方法を子供へ教える方法を1994年5月に北九州市在住する調理担当者250名を対象に調査対象料理数12品目でアンケート調査を実施し、以下のような結果を得た。(1)調理簡便化の意識度(5段階評価法)は調査対象者の平均で2.6だった。(2)世帯(12料理平均)における調理簡便化度1.8±0.5であった。12料理別の調理簡便化度はきんぴらごぼうが1.1で低くカレーライスは2.9で調理簡便化が進んでいた。(3)料理の調理方法の習得先は、五目すし、てんぷらなどの日本風料理は母親から習得しており、ぎょうざなどの外国風料理はTVや本などから習得していた。(4)子供に教える調理方法は現在の日常料理の調理方法で教えたいと考えているが、日本風料理の方が現在の調理方法のまま教えたいと考えている傾向が強かった。(5)調理簡便化に対する意識と調理簡便化度の間には相関があったが、子供に教える方法と調理の簡便化との間には相関がなかった。
著者
坂本 友子 由比 顕之介
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.31-40, 1997-03

幹線道路沿いの二酸化炭素濃度に及ぼす交通量との要因の関与を解明するために、また北部九州にある2都市の地勢、気象要因、交通量が二酸化炭素濃度に与える影響を解明するために、北九州市31ケ所、福岡市11ケ所におけるテドラバック水酸化バリウム法による二酸化炭素濃度の測定を行い次の結論を得た。1.北九州市の住宅地における幹線道路沿いの二酸化炭素濃度を測定の結果、国道3号線沿いでは384ppm、199号線沿いでは381ppmであった。両国道の値は近似していた。また道路沿いのマンション屋上(30m)での二酸化炭素濃度は406ppmで国道沿いの平地(1.5m〜2.0m)と差が見られなかった。2.交通量に差がある北九州市と福岡市についての昼及び夜の二酸化炭素濃度は、北九州市の昼間の二酸化炭素濃度は375ppm、夜間は432ppmで昼間より夜間に高い値を示した。一方福岡市においては昼間は409ppm、夜間は374ppmであり交通量との間に有意な相関が見られた。北九州市では交通量が減少する夜間に二酸化炭素濃度の有意な増加が見られたことから、交通量の影響は小さいことが考えられ、他の要因が影響したものと考えられた。3.福岡市では風向が東または南東の風のとき二酸化炭素濃度が高値を示し、北九州市では北または北西の風のときに二酸化炭素濃度が高値を示した。風力に関しては両市とも風速2.1m/s以上のときに二酸化炭素濃度は低下し、北九州市では有意の低下を示した。降雨については両市とも降雨の後に有意な低下が見られたが、緑化率が60%の北九州市の方が福岡市より低下が大きかった。福岡市では気象条件による二酸化炭素濃度の変動は少なかったが、北九州市では降雨、風力、風向のすべてと関係が見られた。北九州市と福岡市の変動要因には差があり、都市によってそれぞれ地域特異性があるものと考えられた。
著者
山田 志麻 武藤 慶子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.31-39, 1998-09
被引用文献数
2

平成7年5月上旬に北九州市内に在住する子供をもつ母親314名を対象として、母親の食意識や日常食における料理を子供にどのように教えたいかその実態を把握し、今後の家庭での食教育の方向性をさぐることを目的としてアンケート調査を行った。その結果、子供に教え伝えたい料理は「おせち料理」が1位、次いで「肉じゃが」「きんぴらごぼう」「みそ汁」「茶碗蒸し」であった。これらは日本の日常料理の中のひとつである煮物が中心で、しかも子供に教える料理の方法は手作りで、その内容は加工食品や便利な調理器具を使用しないという傾向であった。また、調理担当者である母親の年齢が低いほど早い時期に子供に料理を教える傾向があり、加齢とともに食に対する関心度が増す傾向が見られた。
著者
永添 正美 世良 暢之 常盤 寛
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.17-24, 2004-02

1996年10月上旬、KA大学、附属KB及び付属KC高校において患者数211名の大規模な食中毒が発生した。患者の主症状は、下痢、腹痛、嘔吐及び発熱であった。患者14名の便、食品残品について細菌学的検査を実施した。その結果、4名(28%)の便からサルモネラが検出され、生化学性状、血清学的性状(O抗原9、H抗原g,m)の結果から、Salmonella Enteritidis (以下、S. Enteritidis)と同定された。便より分離したS. Enteritidisについて、寒天平板法により抗生物質(アンピシリン、ピペラシリン、スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤、ミノサイクリン、アミカシン、セフメタゾール、セフォベラゾン、ラタモキセフ、セフォチアム、セフチゾキシム、セフタシジム、ホスホマイシン)に対する感受性試験を実施した。その結果、便より分離したS. Enteritidisは、アンピシリン(最少発育阻止濃度が、4μg/ml)、スルファメトキサゾール(同、<1.56μg/ml)などに対して感受性であった。一方、原因食品を追求するため、同学生食堂に残されていた液卵4検体についてサルモネラ分離を試みた。その結果、S. Haiha及びS. Enteritidisの2種類のサルモネラが検出された。特にS. Enteritidisは4検体中3検体から検出されたことから、10月4日に患者が喫食したカツ井、から揚げ丼に使われた液卵あるいはその調理容器が何らかの形でS. Enteritidisに汚染されたことが本食中毒の原因であると疑われた。
著者
岡田 三津子 岡 孝和 田中 くみ 渡口 あかり 原之薗 裕三枝 平島 ユイ子 大田 恵子 筒井 康子 角田 智恵美 岩田 仲生
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.43-61, 2008

背景と目的:最近、児童生徒のうつ病の有病率の高さが注目されている。うつ病の治療法は確立されており、早期発見すれば治療できる。児童生徒のうつ病のケアのためには、早期発見早期治療システムの構築が必要であろう。養護教諭は学校におけるメンタルヘルスケアにおいて中心的な役割を果たすことが期待されている。しかし、養護教諭は医師との日頃からの連携がなければ、その達成は不可能である。そこで、連携の現状、連携推進の問題点について、小学校に勤務する養護教諭を対象にして質問票調査を行った。方法:福岡県Y市教育委員会の協力を得て、Y市の公立小学校に勤務する12養護教諭を対象にして、精神科専門医との連携についての自記式質問票調査を行った。質問票の内容は、(1)養護教諭が経験した児童の心の問題について(2)児童の心の問題の対処に関する現状について(3)精神科や心療内科の専門医との連携による児童のうつ病の早期発見についてであった。質問票の回収率は100%であった。結果:養護教諭が頻繁に経験した困難な児童の心の問題は、主として、不登校と不定愁訴だった。次に多かったのが、行為障害や反抗挑戦性障害等の学級経営を著しく妨害する行動だった。すべての養護教諭が学校単独では児童の心の問題をケアすることはできないと考えていた。しかし、小学校と心療内科や精神科専門医との連携はほとんどなく、半数以上の養護教諭が連携に困難を感じていた。また、うつ病の早期発見早期治療システムの構築については、良いことだとは認めるものの、実現可能と考えている養護教諭は少なかった。結論:養護教諭が頻繁に経験した困難な小学生の心の問題は小児のうつ病と密接な関係があるものだった。しかしながら、小学校と心療内科や精神科専門医との連携は乏しかった。協力して児童の心の問題をケアするためには、懇談会などを通じて、率直な意見の交換やお互いの立場の理解を深めることが大切であろう。
著者
小林 秀光 馬場 七草 永田 友美
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.15-23, 2002-03

病原性酵母Candida catenulata IFO 0745の細胞壁由来のマンノプロテインから、β-脱離反応(100mM NaOH、25℃、18時間処理)によって得られたO-結合型糖鎖の化学構造を同定した。この処理によって、精製マンノブロテインより3種のオリゴ糖(四糖、三糖、二糖)と単糖が遊離した。これらの生成物をBio-Gel P-2を用いたゲル濾過法によって分離精製後、^1H-NMR法で分析したところ、四糖、三糖および二糖は、すべてα結合マンノース残基から構成されるMan α 1-3Man α 1-2Man α 1-2Man、Man α 1-2Man α 1-2ManおよびMan α 1-2Manであり、単糖はD-マンノースであることが明らかになった。
著者
宮崎 美穂 橋爪 真理 中井 明美 北浦 多榮子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.17-25, 2006-02

綿、羊毛、アクリル、ポリエステル繊維からなる4種類の布に付着させた4種類の汚れについて、家庭一般で使用されている市販洗剤を用いて洗浄実験を行い、得られた洗浄効率、汚れの脱離性を比較した結果、下記の所見を得た。1)水溶性のコーヒー汚れとしょうゆ汚れは、4種類全ての繊維において、市販洗剤での洗浄効率、汚れの脱離性は高く、除去しやすいことがわかった。2)牛乳汚れは、牛乳に含まれる水溶性タンパク質が変性すると除去困難となるため、付着した場合は出来るだけ早く洗うことが望ましいと考えられた。3)リキッドファンデーション汚れは、湿式洗濯では水により汚れが広がり、市販洗剤を使用した除去効果は低かった。4)市販洗剤を使用して洗浄した場合、経時変化による汚染除去効果を検討すると、コーヒー汚れとしょうゆ汚れは時間が経過しても、比較的除去が容易であった。リキッドファンデーション汚れの場合、綿と羊毛での差異はみられたが、除去が困難となった。