著者
坂本 啓子
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.277-299, 1992-01-31

本学食物栄養専攻栄養士コース2年次生87人を対象に,講義主体の日と実験主体の日の生活行動別消費時間とエネルギー消費量を調査し次の結果を得た。1.生活時間は,講義日,実験日ともに,生理的生活時間が最も長く,講義日平均10時間39分(1日の44.4%),実験日平均9時間50分(1日の41%)であった。次いで学業的生活時間で,講義日平均6時間59分(1日の29.1%),実験日平均9時間33分(l日の39.7%)三番目が社会文化的生活時間で講義日平均5時間20分(1日の22.2%),実験日3時間53分(16.2%)であり,最も短いのは家事的生活時間の講義日平均62分(l日の4.3%),実験日44分(3.1%)であった。生活時間の特徴を述べると(1)睡眠時間の平均は講義日が7時間23分,実験日が6時間33分であったが,最小値が3時間5分,両日合わせて3時間台4人,4時間台が6人いた。短時間睡眠の原因の一つに家庭内学習とアルバイトがある。若い学生ではあるが短時間の睡眠が長期に続くことは健康上よくない。短時間睡眠が習慣化しているとすれば生活リズムのとり方について検討する必要があろう。(2)家事的生活時間を持っていない学生が14〜15%いる。いずれも自宅通学者である。家庭内の誰かが,学生に代って家事的行動を行っていると推察される。(3)授業(講義,実験,実習)時間の平均は講義日が3時間24分,実験日6時間2分であった。両日の最大,最小値の差も大きい。短大の特長として,学生の学習意欲が大きければ,いくらでも学習できることを示している。(4)通学時間は両日とも平均2時間20分前後で1日の約10%を通学に要している。最大値は5時間10分である。(5)家庭内学習は,76〜78%の学生が行っている。時間は講義日2時間26分,実験日2時間11分であったが最大値の学生は8時間3分も家庭内学習を行っていた。2.1日のエネルギー消費量は講義日の平均が1991kcal,実験日の平均が1949kcalで検定結果からも講義日が実験日を上まわっている。4分類の生活におけるエネルギー消費量のうち,講義日が実験日を有意に上まわっていたのは,生理的生活,家事的生活,社会文化的生活で,学業的生活のエネルギー消費量のみが,講義日の平均692kcalに対し実験日が880kcalで,実験日の方が有意に多い結果となった。また,講義日と実験日のエネルギー消費量相関をみると相関係数は0.755と有意に高く,体量の要因をとり除いた偏相関係数も0.297であり,講義日と実験日のエネルギー消費量が独立てないことを示している。このことは身体を積極的に動かすタイプの学生は両日とも同様の動きを行っていることを示唆している。3.以上の結果から学生達は実験主体の日には積極的に学業生活を過ごし,講義主体の日より長い時間と多いエネルギーを消費して,学業生活に力を注ぎ,学業以外の生活行動をセーブしている。学業的生活の時間,エネルギー消費量の少ない講義主体の日には,社会文化的,生理的,家事的生活の時間,エネルギー消費量が増加する生活行動をとっていることがわかった。学生達は短大生の特性である自主性を生かしながら,自らの一日の生活の消費エネルギーを上手にコントロールしているといえよう。