著者
坂本 晃一
出版者
日本福祉教育・ボランティア学習学会
雑誌
日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要 (ISSN:24324086)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.136-145, 2017

小学5年生の総合的な学習の時間(全12時間)として行った、人権課題「同和問題」を扱った授業実践。本校のある墨田区は、同和問題(皮革産業)などの地域の重点課題への理解推進のため、人権尊重教育に力を入れてきた。本校は、東京都教育委員会による「人権尊重教育推進校」の指定を受け、「東京都人権教育プログラム」に基づいて研究してきた。この人権尊重教育実践では、福祉教育で最も大切とされる「差別の心」の変容というアプローチを中心に分析していく。3年生で学習した「皮革産業」を発展させ、5年生はと畜・解体を行う「食肉市場」を取り上げた。単元の前半では、多くの児童が食肉市場で働く人々について「残酷で怖い人」というイメージを持ったが、単元の後半では、従業員の方から話を聞き、食肉市場に対する差別的な手紙について考える授業を通して「大切な仕事。自分の心の中にも差別の心があった。相手を正しく知ることが大切」と気付くことができた。