著者
西田 憲記 久寿米木 亮 坂本 祐史
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.718-729, 2016 (Released:2016-09-25)
参考文献数
35
被引用文献数
2

多くの骨粗鬆症性圧迫骨折 (以下OCF) は腰痛を主訴に発症し, 椎体高は減じても自然に軽快している. しかし, 偽関節形成や進行性椎体圧潰を引き起こし, 疼痛が遷延しADLの低下や神経障害を呈する症例も少なからず存在する. OCFの保存的治療は急性期治療と慢性期治療に分けられる. 偽関節形成や進行性椎体圧潰などの予防を目的とした急性期治療は安静, NSAIDsやコルセット治療を行う. 受傷後の画像診断で偽関節形成や進行性圧潰を早期に発見することがOCFの急性期治療に重要である. 骨粗鬆症治療薬として, ビスフォスフォネート製剤などを中心とした骨吸収阻害薬とテリパラチド製剤などを中心とした骨形成促進薬があり, それらの薬剤の功罪の理解が重要である. 保存的治療が無効で, 偽関節形成や進行性圧潰により疼痛の遷延や神経症状が出現する場合には手術治療が必要となる. 椎体形成術としてブロック型人工骨や骨セメントなどの充塡や椎体の圧を軽減するための穿孔術などが低侵襲手術として行われている. 最近では2011年に保険収載され, 近年多くの施設で治療可能となったBKP (balloon kyphoplasty) も椎体形成術の有用な手技と思われる. 刻々と変化する可能性のあるOCFに対して, 治療方法の利点と欠点を十分に吟味しながら治療にあたることが必要である.