著者
坂野 孝広 鈴木 麗璽 有田 隆也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.1O3GS803, 2020 (Released:2020-06-19)

我々は,自然に偏在する音響ノイズを起源とする音声コミュニケーションの進化シナリオを検討するため,物理接触による音の発生を取り入れた3次元仮想生物進化環境を構築している.生物は直方体を接続して構成され,各ブロックは他個体を認識する視覚とブロック同士や地面との接触で発生する音を認識する聴覚をセンサとして持つ.センサ情報はブロック内の神経結合で処理されブロック間の関節へのトルクに反映される.生物は体構造とネットワークを記述する遺伝子を持つ.本稿では,音源と資源から構成される環境構造が仮想生物の進化に与える基本的な影響を明らかにすることを目的とする.具体的には,中心に定常音源とその周囲に複数の資源ブロックが存在するフィールドに仮想生物集団を配置し,一定ステップ後に各資源から配分半径内に入った個体で等分して得られる資源量を適応度とした.資源の共有特性を決める配分半径が異なる条件で実験した結果,半径が中程度の場合に音情報を利用してより均一な資源共有が可能な集団へと漸進的に進化することが判明した.また,集団行動データの次元圧縮による可視化が複雑な集団構造の進化傾向の比較に有用であることが判明した.