著者
池田 健太郎 坂野 真平 藤村 真
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.44-48, 2017 (Released:2017-10-31)

全国の産地で問題となっているナス半身萎凋病の防除対策として,カラシナの栽培すき込みの有効性を検討した。ガラス温室内にて,ワグネルポットを用いた接種試験を2009 年,2011 年に実施した。2009 年の試験では,無処理区において,供試したナス12 株中6 株が発病したのに対し,カラシナ区では発病株はなかった。2011 年の試験では,無処理区において16 株中11 株が発病したのに対し,カラシナ区では5 株にとどまった。また,ナス半身萎凋病の病原菌を接種した汚染圃場で,効果の検討を行った結果,ナス連作区および休作区では,発病株率がそれぞれ,87% および73% であったのに対し,カラシナ区は47% と,発病の低下が確認された。Quantative Nested Real-time PCR によって試験圃場における土壌中の病原菌のDNA 量を測定した結果,カラシナ区では,ナス連作区および休作区と比較して病原菌のDNA 量が有意に低下していた。これらの結果から,カラシナの栽培すき込みによって,土壌中の病原菌量が低下し,ナス半身萎凋病を 抑制したと考えられた。