著者
坪井 主税
出版者
札幌学院大学
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.93-109, 2000-03

本稿は, 約100年前にスイス・ルサーン市に実在したルサーン国際戦争と平和博物館(独名Internationale Kriegs- und Friedensmuseum, Luzern; 仏名 Musee International de la Guerre et la Paix, Lucerne; 英名International Museum of War and Peace, Lucerne)の建物および展示会場と一部展示品を再現しようとするものである。再現作業は, 1902年に設立され1909年まで存在していた, そして今はまったくその姿のない「最初の博物館」のそれらが中心であるが, 「第二の博物館」-すなわち, 1910年に「最初の博物館」から移転し1919年に消滅した, 今建物だけが残っているもの-のそれらについても簡略に行う。本稿は, それらの歴史的実在の事実を視覚的に捉えるために, ルサーン市史料保管所(Stadarchiv Luzern)をはじめ関係諸機関から入手し掲載許可を得た当時の写真や図面を使用する。この点が, 同館の成立から消滅までの過程を詳細に文書化した英国の平和史研究者ピーターバンデンダンガン(Peter van den Dungen)の1981年の論文"The International Museum of War and Peace at Lucerne"(Schweizerische Zeitschrift fur Geschichte, Vol. 31,pp. 185-202)と本稿が異なるところであり, また同論文を補完するところでもある。