著者
坪倉 ひふみ
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.122-128, 2002-03-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

ヒトの胎児や新生児は自発的に運動しており, その中にgeneral movements (以下GMsと略す) が含まれる。PrechtlによればGMsは全身を含む粗大運動で出現した時点で複雑であり, 個々の運動に分化する. GMsは胎生期には不変だが新生児期には変化し, 軌跡が小さくなり単調になる. それに対し異常なGMsは周期的かつ単調で発達的変化を欠く. GMs, 特にfidgetyは神経学的予後と相関する. GMsの臨床的意義は,(1) GMsの観察は非侵襲的・安全・簡便で,(2) 観察者がトレーニングを受けていれば, 観察者間の判定一致率は高い. (3) GMsのreliabilityは78-98%で平均90%である. (4) 異常なGMsは脳障害の存在や重症度とよく相関する.