- 著者
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城下 彰宏
片岡 裕貴
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.8, pp.694-700, 2021 (Released:2021-12-01)
- 参考文献数
- 2
- 被引用文献数
-
1
メタアナリシスとは,各研究の効果から普遍的な集団(母集団)での効果を推定するために各研究の効果を統合する統計学的手法である.メタアナリシスでは,サンプルサイズによらず各研究の結果を比較可能な形に変換した効果量(エフェクトサイズ)と呼ばれる指標を用いる.エフェクトサイズの統合は,各研究がどの程度確からしいか(標準誤差)に応じて重み付けをしてから平均する.重み付けの方法は「真の値はただ1つである」と仮定するfixed effect modelと,「真の値は幅があるもの」と考えるrandom-effects modelに分けられる.一般的にはrandom-effects modelのほうが保守的な結果になるため推奨される.本稿では,Yangらの論文を例として,エフェクトサイズの代表であるmean differenceとstandardized mean differenceの算出方法,結果の統合方法(fixed effect modelとrandom-effects model),統計学的異質性について解説する.