- 著者
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城戸 浩胤
- 出版者
- 公益社団法人 日本油化学会
- 雑誌
- オレオサイエンス (ISSN:13458949)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.10, pp.409-415,400, 2004 (Released:2013-06-01)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
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ローズマリー (Rosemarinus officinalis) はよく知られているハーブの一種であり, その抽出物は酸化防止剤として広く利用されている。ロスマリン酸, カルノソール, カルノジック酸およびロスマノールのようなローズマリー抽出物成分は, ビタミンEおよびBHT (2および6-di-tert-ブチル-4-クレゾール) より強い抗酸化機能を有している。本稿では, ローズマリー抽出物の抗酸化成分とその効果について, さらには, 食品への用途展開について紹介する。ローズマリー抽出物は, 抽出法により, 含まれる抗酸化成分濃度や比率が異なることが分かり, 得られた抽出物の抗酸化性能は大きく異なった。さらに, 得られた抽出物の抗酸化性能は, その成分中のカルノソール等のアピエタン骨格ジテルペンポリフェノールの総量に依存した。一方, 食品の劣化原因は大きく分けて, 油脂や酵素の種類等の食品中に含まれる成分による影響 (内部要因) と, 保存や加工プロセスにおける光や熱等の影響 (外部要因) に分けられる。ローズマリー抽出物の機能として, 内部要因である油脂や酵素による劣化防止性能が高いことが判明し, 実際にローズマリー抽出物を食品に用いた系において, その食品が油脂劣化や酵素による劣化が防止されることが確認された。また, 外部要因である光および熱による影響においても, ローズマリー抽出物を添加された食品の劣化が抑制された。