- 著者
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井上 啓史
辛島 尚
鎌田 雅行
執印 太郎
倉林 睦
大朏 祐治
- 出版者
- 社団法人日本泌尿器科学会
- 雑誌
- 日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
- 巻号頁・発行日
- vol.97, no.5, pp.719-729, 2006-07-20
- 被引用文献数
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10
4
(目的)5-アミノレブリン酸(5-ALA)膀胱内注入による蛍光膀胱鏡を用いた膀胱癌に対する光力学的診断の有用性および副作用の検討.(対象と方法)膀胱癌18例(男性15例女性3例,年齢中央値71(44〜84歳),初発症例8例,再発症例10例)を対象とした.検査前に5-ALA溶液を膀胱内注入し,白色光源および蛍光光源を用いて観察し,膀胱生検を行った.本法の有用性は蛍光励起の程度とその部位の病理組織像との対応で評価した.またROC曲線下面積(AUC)を算出し,通常の白色光源下膀胱鏡診断法と比較検討した.(結果)全129生検検体(隆起病変部45検体,非隆起部84検体)中,76検体(内,上皮内癌19検体)が悪性,21検体が異形成と病理学的に診断された.全検体における本法の的中精度は77.0%で,感度89.5%,特異度58.5%であった.AUCはいずれの場合も本法が通常の白色光源下診断法を上回り,特に全症例(p=0.010),非隆起病変(p=0.007),再発症例(p=0.002)において有意な差を認めた.5-ALAの膀胱内貯留時間(中央値80(30〜150)分)は診断精度には影響しなかった.副作用は軽度の膀胱刺激症状のみで,全身的な副作用は認めなかった.(結語)本法は有用かつ安全であり,今後,膀胱癌に対する標準的検出法の一つとなりうると考えた.