著者
沖津 卓二 堀 富美子 佐藤 直子 清水 麻里
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.141-147, 2000-04-28 (Released:2010-04-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

小学生の難聴の推移を, 仙台市における昭和43年度から平成9年度までの30年間の検診データにもとづいて検討し, 考察を加えた。1) 対象人数は, 昭和56年度を境に減少に転じ, 少子化を反映して, その後も減少傾向が続いていた。2) 難聴者は昭和47年度の1.94%をピークに年々減少していた。 その主な原因は滲出性中耳炎, 慢性中耳炎などによる伝音難聴の恒常的な減少であった。 感音難聴にも減少傾向がみられたが, 平成1年度以降は0.22-0.26%で大きな変化は認められなかった。3) 難聴者は伝音難聴, 感音難聴ともに男子に多く, また片側性が多かった。4) 一側高度感音難聴は平成1年度以降は徐々に減少し0.04%前後であった。5) 滲出性中耳炎による難聴は減少しているが, 伝音難聴の50-60%を占め依然として伝音難聴の主要な原因疾患であった。