著者
堀井 恵美子
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.449-450, 2019-05-25

大学時代に指導を受けた先生の奥様の「卒業したら,女医は3倍働かないと認められない」という一言を,卒後40年たった今も忘れることはない.当時は女子医学生10%の時代だったから,ずっと男性の中で実習も部活も行ってきた.女性整形外科医は稀有の時代だったから,どこへ行っても女性1人は続いたが,違和感なく過ごしてきた.整形外科の仕事が好きだったので,長時間業務も気にならず,無我夢中で楽しく日常診療を行ってきた. 研修医以降のキャリアの形成には,指導医の役割が重要である.卒業時点では男性医師と同じスタートラインに立っているが,まず,科を選択するにあたって,好き・嫌いよりも,“体力的にどうか?”,“出産・育児を乗り越えられるか”などを考慮せざるを得ない.特に外科系を選択しようとすると,これらの不安材料は足かせとなる.キャリアと家庭を両立できるかどうかは,家族の支援と,社会の理解と,そしてなによりも指導医(上司)の理解が不可欠である.私の時代は一般的にはそれらを期待できず,恵まれた環境にいる人とスーパーウーマンだけがそれを享受できた.実際,大学時代の同期(女性)の中で,育児経験者は半数以下で,厳しい環境であったことがうかがえる.
著者
井戸 洋旭 堀井 恵美子 洪 淑貴 杉浦 洋貴 山賀 崇
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.82-84, 2017 (Released:2019-06-05)
参考文献数
6

Hume骨折に尺骨塑性変化を合併したとする報告を散見する.当院でも類似の症例を2例経験した.受傷時年齢は6歳と14歳,新鮮例の1例(6歳)は橈骨頭の安定化は容易ではなく,慎重なリハビリテーションを要した.陳旧例の1例(14歳)は尺骨矯正骨切り術を行ったが亜脱臼が残存した.肘頭骨折,尺骨塑性変化が近位橈尺関節の関節適合性に影響を与える症例においては,尺骨の矯正または過矯正を行いながら,慎重に橈骨頭の安定性を評価することが必要である.