著者
長谷川 道子 齋藤 龍一 堀内 あゆみ 田村 敦志
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.132, no.3, pp.479-486, 2022-03-20 (Released:2022-03-22)
参考文献数
19

動物用ワクチンのヒトへの誤刺は畜産業従事者の間で起こるが,誤注入された薬剤のヒトへの影響を述べた文献は極めて少ない.我々はオイルアジュバント加鶏用ワクチンを手掌に誤注射後,高度の局所反応を呈した44歳男性例を経験した.高熱を伴う蜂窩織炎様の初期反応が沈静化したのち,進行性に拡大する局所壊死を生じ,組織学的には変性・壊死した組織内の稠密な好中球浸潤と多核巨細胞を混じた肉芽腫形成を認めた.ステロイド全身投与が奏効したが,誤注射された薬剤の除去が不十分または困難な例では試みる価値があると考え報告した.