- 著者
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堀内 康史
- 出版者
- JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
- 雑誌
- 日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, pp.38-38, 2011
眼底カメラの性能は向上し、きれいな眼底写真を簡単にとる事ができるようになった。しかし、「その眼底写真から何を診たいのか」、を考えないで撮影すると、場合によっては肝心な情報が含まれない失敗写真を撮ってしまうことになる。一番わかりやすい例は病変部そのものが写っていない場合である。眼底カメラのほとんどは、眼底の後極部が写るようにできている。固視標があって、被検者がそこを固視することで黄斑部を中心に血管アーケード内部とその周辺が主に写真に描出される。しかし、脈絡膜腫瘍や網膜細動脈瘤などは必ずしも後極にあるわけではない。また、広範な病変部を記録したい場合、パノラマ撮影を行うが、全範囲を撮ったつもりが撮れておらず、欠損部のあるパノラマ写真になってしまうなどの失敗もある。そして、これらの失敗も、カラー眼底撮影なら、すぐ撮り直し可能だが、フルオレセインやインドシアニングリーンの蛍光眼底造影となると、そうはいかない。造影検査は被検者に負担が大きい。造影剤を注射する痛みはもちろんだが、造影剤の副作用によるショックのリスクを負う検査である。<BR> この検査で何を診たいのか、よく理解してから臨まないと検査が無駄になってしまうこともある。本セミナーでは、こういった失敗を避けられるよう、基本的な撮影のポイント、蛍光眼底造影の原理、カラー眼底写真と蛍光眼底写真の「その眼底写真から何を診たいのか」についてふれる。