著者
堀江 勝博 大谷 典生
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.590-593, 2022-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
7

睡眠時無呼吸症候群,喘息の既往のある50歳,男性。電子レンジで加熱したおにぎりを食べた後から咽頭痛,呼吸苦が出現したため,救急外来に来院した。喉頭ファイバースコピーを実施し,喉頭蓋の著明な腫脹を認めたため,気道管理目的に気管挿管を施行し,同日入院となった。入院後は繰り返し評価を行い,喉頭蓋の腫脹の改善を確認の後,第8病日に抜管,第10病日に退院となった。本来,加熱した飲食物は通常,誤って口に入れてもすぐに吐き出すため,喉頭熱傷になることはまれと報告されている。本症例では,おにぎりを咀嚼せずに嚥下したこと,電子レンジ加熱の特性として外部より内部がより高温となったことが喉頭熱傷を引き起こした要因であると考えられた。電子レンジで加熱した食物を食べた後からの咽頭痛・呼吸困難は,喉頭熱傷の可能性があり,時として高度な気道管理を必要とする場合があることを念頭に診療するべきである。