著者
堀田 暁介
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.115, no.2, pp.52-129, 2007-06-20 (Released:2017-10-02)

一般相対論の範囲ではブラックホールのホライズンの表面積は熱力学的なエントロピーと見なせるという、Bekenstein-Hawking公式が以前から知られていた。そこで本論文では一般相対論を更に拡張させて、超弦理論の4次元での有効理論として導かれる、任意個のベクトル多重項とハイパー多重項が結合し、なおかっ高階の微分項を含んだN=2の超重力理論において、ブラックホールエントロピーがBekenstein-Hawking公式からどのようにずれるかを細かく分析した。またその際に、ホライズンでのスカラー場の値は、無限遠方での値に関係なくブラックホールの持つ電荷と磁荷によって完全に決定されるという「アトラクター機構」のはたらきが現れる。この性質について摂動計算などを含め、定性的、定量的に議論した。