著者
谷村 省吾
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.1-89, 1992-04-20 (Released:2017-10-02)

量子力学系の断熱変化に伴う位相因子-Berryの位相というものがある.それは断熱変化ののちに量子系が元の状態に戻っても,元に戻らない余分な位相因子である.これに似た現象が古典力学にもある.自力で変形可能な,宙に浮いた物体-例えば猫,名前はTomとい-は,変形して元の形に戻っても,その向きは元通りにならない,つまり宙返りすることがある.これらの現象はともに接続の微分幾何の言葉で捉えられることを解説する.また,接続の微分幾何はゲージ理論の一側面を担っているが,この幾何学の観点から見るとき,量子系・古典系・ゲージ理論に多くの類似点・対応物があることがわかる.これらの点について一般的に考察する.最後に具体例を構成する.とくにその例の中で,複素射影空間P^2(C)上の新しい型のインスタントン的な接続を示す.
著者
大栗 博司
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.231-249, 1984-12-20 (Released:2017-10-02)

発散積分から有限部分を取り出す処方について概説しその応用としてζ函数正則化を考える。一般化されたζ函数は発散級数Σ__nλ_n^<-s>の中から紫外cut-offについて正羃で発散する部分を取り除き,その残りを条件収束させたものであることが具体的に示される。
著者
谷村 省吾
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.119, no.4, pp.280-290, 2012

今日「ハイゼンベルク方程式」と呼ばれている式を最初に書いた人はハイゼンベルクではなく、「ニュートン運動方程式」を最初に書いた人はニュートンではないといったエピソードを紹介し、なぜそういった食い違いが生ずるのか考察し、学術誌・学会誌の存在意義を考え直す契機を提供したい。
著者
谷村 省吾
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.106, no.6, pp.F2-F21, 2003-03-20 (Released:2017-10-02)

トポロジーが自明でない空間の上では場の値を一価連続関数で表示できないことを,いくつかの例を挙げて説明し,ファイバー束の理論の動機づけを与える.この理論にもとづいて空間の並進対称性や回転対称性が自発的に破れる機構を見つけたので,簡単に説明する.場と空間の関係を双対性の観点から見直し,可換代数と位相空間が互いに双対であるというゲリファントの定理を説明する.最後に,非可換幾何学の思想を紹介する.
著者
洞田 慎一
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.1-86, 1998-04-20 (Released:2017-10-02)

N=2超対称性を仮定した非可換ゲージ理論の真空構造に関して、SeibergとWittenは、解析的な手法で厳密解を得る事に成功した。彼らの手法は、N=2超対称性非可換ゲージ理論に対して、Dualityと複素解析に現れるRiemann面の取扱いの手法を新たに導入し、理論の非摂動効果を解析的に厳密に計算することを可能にした。この理論はSeibeg-Witten Theoryとも呼ばれる。このとき、Seiberg-Witten Theoryに現れるRiemann面を考えてみると、String Dualityとの関連が強いことが明らかになってきた。ゲージ理論に現れたRiemann面が、弦理論においてM-Theoryに関係することが調べられている。これは、弦理論のもつ真空構造が、場の理論のもつ非摂動効果を含んだ真空構造と一致することを意味している。この卒業論文では、N=2超対称性非可換ゲージ理論について解析し、場の理論と弦理論の関係をまとめた。
著者
松田 卓也
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.A42-A47, 1990-10-20 (Released:2017-10-02)

工学分野における、最近の数値流体力学の進歩について述べる。とくに一般曲線座標、その上で書かれた保存形の基本方程式、陰的時間積分法、風上差分法、その発展形としてのTVD法などの話題について述べる。
著者
九後 汰一郎
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.C22-C35, 2004-12-20 (Released:2017-10-02)

今年2004年はYang-Millsの記念すべき論文が発表されてから50年になる。この機会にゲージ理論の発展の歴史を振り返り、ゲージ理論をめぐっての考察を行う。
著者
松田 卓也
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.B10-B17, 1999

学会における口頭発表は、情報交換の手段として今後ますます重要になる。しかし多くの講演者の講演スタイルには、情報伝達の効率という点において非常に大きな問題がある。ここでは、若手研究者がOHPを使って10分程度以下の口頭発表をする場合にターゲットを絞って、その技術を解説する。そのエッセンスを述べれば、トランスペアレンシーは内容を精選して、大きな字で書くこと、聴衆の方を向いて、聴衆とアイコンタクトをしながら話すことである。