著者
堀田 秀之 小達 和子
雑誌
東北海区水産研究所研究報告
巻号頁・発行日
no.7, pp.60-69, 1956-03 (Released:2014-08-22)

1951年から1955年に亘って採集された約50標本1500尾のサンマの消化管を調査し、その食餌構成と摂餌行動について、次の様な知見が得られた。1.サンマの主なる餌はPlanktonic crustaceansで、稚魚・魚卵(主にカタクチイワシ)やSagittaが之に次いでおり、Phytoplanktonは消化管中には認められない。2.サンマの食性は幼魚期(体長約6cm)から固定し、幼魚から成魚に至る間に食性の変化が認められない。3.単位体重当りの摂餌量は体重の小さいものの方が一般に大きい傾向がある。4.サンマは産卵時期でも常に摂餌している。5.サンマの消化管内容物の季節的変化は、一般に春季(5月・6月)と秋季(10月・11月)にPlanktonic crustaceansの出現割合が高く、この時期には消化管の空虚なものは少ない。空虚な消化管の出現割合は海洋に於けるPlanktonの存在量と関連する。6.鈎頭虫類の1種の寄生虫が体長20cm以上のものに屡々見出される。この寄生率・寄生密度は餌料と関連を持つものと考えられる。7.サンマの索餌活動に日週期的変化が認められ、昼間から日没時にかけて盛んに摂餌し、夜間は摂餌しない様である。8.夜間棒受網と流網による漁獲物の摂餌量を比較すると、流網のものの方が多く、棒受網のものは消化管が殆んど空虚なものばかりである。