著者
堀越 美枝子 石原 力 石井 英昭 伊古田 勇人 山口 由美子 柏原 賢治 城下 尚 村上 正巳
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.48-52, 2008 (Released:2010-07-14)
参考文献数
10

背景 : アカントアメーバ角膜炎 (Acanthamoeba keratitis) はコンタクトレンズ装着者に増加傾向がみられる. 原因は淡水, 土壌等に生息しているアカントアメーバ (Acanthamoeba) の感染によるもので, 角膜擦過細胞診標本にて嚢子 (cyst), 培養検査にて原虫の嚢子 (cyst), 栄養体 (trophozoite) を検出できた 3 例を経験したので報告した.症例 : 角膜擦過細胞診で原虫の嚢子が確認できた. パパニコロウ染色ではライトグリーンにより嚢子壁が染色され, 内部は茶褐色あるいは不染性であった. PAS 染色では嚢子壁陽性, 嚢子内部は暗赤色を呈していた. ギムザ染色では嚢子壁が青紫色に好染した. また, 培養により得られた塗抹標本に蛍光染色を施し, 蛍光を発するアカントアメーバの嚢子を検出できた.結論 : アカントアメーバ角膜炎はアカントアメーバ原虫を検出し, 早期に治療することが重要である. 検出方法には病巣擦過物のパーカーインク KOH 法による直接鏡検あるいは培養が代表的な検査方法であるが, 角膜擦過細胞診標本でパパニコロウ染色, PAS 染色, ギムザ染色標本の鏡検によるアカントアメーバ原虫の検出は簡便であり, 早期に治療へ結びつくことができるため, 有用な検査方法である.
著者
飯塚 真理 宇井 万津男 伊吹 令人 城下 尚 倉林 良幸 堀越 美枝子
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.439-445, 1996-09-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
9

今回われわれは, 子宮内膜増殖症のホルモン療法後妊娠し, 分娩後に子宮内膜癌に進行した1症例を経験したので報告する.症例は23歳, 0妊0産.月経不順.1991年5月, 不正性器出血を主訴に来院した.子宮内膜の肥厚がみられたため内膜細胞診と組織診を施行し, 異型増殖症と診断された.未産婦であり, 挙児希望があったため, ダナゾール療法を開始した.3ヵ月後, 内膜組織診で桑実形成性腺腫性増殖症と診断され, 大量黄体ホルモン療法を施行した.その間, 内膜細胞診と組織診を再検したが悪性所見はみられず, 4ヵ月後, ホルモン療法を中止し, 排卵誘発を行った.3ヵ月後に妊娠が成立し, 1993年2月正常分娩となった.1年後, 内膜細胞診と組織診で異型増殖症と診断され, ホルモン療法を再開した.4ヵ月後, 内膜組織診で高分化型腺癌, 間質浸潤陽性と診断されたため, 1994年8月, 準広汎子宮全摘術+両側付属器摘出術+骨盤リンパ節郭清術を施行した.現在まで, 異常なく経過している.