著者
泉 邦彦 小沢 俊 堺 拓之 若月 英三
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.96-112, 1982-03-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
8
被引用文献数
3

顎舌骨筋の起始部である顎舌骨筋線は一般に知られているように, 歯科臨床学上重要である。そこで, 筆者らは, インド人成人下顎骨体内面の石膏模型を作製して, モアレ縞等高線を応用しその形態を観察及び計測した。さらにX線を撮影し顎舌骨筋線と歯根尖との位置的関係をも併せて計測し, 比較検討した。今回, モアレ縞で観察した後大部の顎舌骨筋線は, 後端がM3の遠心または後方で直線的に経過するものが多く, 前端はP2の付近で終るのが半数をしめる。さらに, 顎舌骨筋線の最大豊隆部の位置は大部分がM3付近にあり, この部位の外形は点状及び線状形が多く, 梨形もみられる。X線による顎舌骨筋線と歯根尖の位置的関係は, 顎舌骨筋線と根尖とが一致するM1を中心として, P2とその前方歯では, この筋線より上方に, M2とその後方歯では, この筋線より下方に位置する。そして, この一致点は, 日本人ではM2でありインド人では少し前方にある