著者
塚原 進 森永 昭
出版者
Japan Human Factors and Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.340-348, 1969-10-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
4

室温に長時間おいた水と油に同時に手を入れてみると水の方がつめたい. 温度計では同じ温度を示している. 著者らは高感度の輻射温度計を用いて測定した結果, 伝導形の温度計では見られなかった著しい差のあることを見出した. もちろん水の方が低く, 伝導形のもので0℃のとき約8℃の差がみとめられた。このことから手ざわりで温度差のある物質とくに衣料について比較してみると, 輻射量に相当の差があって, ほぼ感覚量に比例しているように判断された. これらの結果から, 温度覚は実は輻射熱によって起こされるものであろうと推定した. この観点から考えると, 温度覚に関するいくつかの問題が, 容易に説明できることがわかった.