著者
高安 義行 塚本 哲治
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.147, no.5, pp.303-309, 2016 (Released:2016-05-13)
参考文献数
8

バイオ後続品(バイオシミラー)は,品質,安全性および有効性について,先行バイオ医薬品との比較から得られた「同等性/同質性」を示すデータ等に基づき開発される.国内では既に7剤のバイオ後続品が販売されており,バイオ後続品の開発や承認申請に関する企業側の経験も蓄積されてきている.高額な先行バイオ医薬品に比べ,薬価が低く設定されるバイオ後続品は,高騰する国民医療費の抑制策として,また,患者の医療費負担軽減策として大いに期待されており,今後,大型バイオ医薬品の特許が次々と満了することも相まって,この分野の開発競争は激化するものと予想される.一方,医療の現場におけるバイオ後続品の認知度は依然として低く,十分にその価値が発揮されるためには,国の政策に加え,開発・販売する企業がバイオ後続品に関する正しい情報を発信し,医療機関や患者と共有してくことが重要である.