著者
塚越 芳樹
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.548-551, 2014

平成23年度の生産工程プロ参加試験室に対して技能試験を行い,その回答結果を得た.多くの場合は試験結果のzスコアは満足であったが,疑わしいまたは不満足であった試験室もあった.そのような参加者は,初めて参加する試験者にも多かったが,連続して同一の試験室が外す場合や,前年度は満足な結果が得られたにも拘わらず翌年度の結果のzスコアは疑わしいまたは不満足であるなど,その様子は様々であることが明らかになった.また,細菌数と大腸菌群数では報告値の分布が異なっており,zスコアの算出のもとの<i>σ</i><sub>p</sub>として,NIQR法によるロバスト推定量とFEPASが採用している経験則により固定する場合を比較すると,大腸菌群数ではほぼ同様のzスコアになるが,細菌数では大きく異なることが分かった.本技能試験では試料の保存について細かい条件を置かなかったため,安定性を担保している技能試験に比べて<i>σ</i>が大きくなっている可能性があるが,その他の技能試験と比べて結果に大きな差異はなかった.技能試験は,研究成果および試験結果の信頼性確保のために有用であったことと共に,その継続が必要であることが確認された.