著者
塩浜 敬之
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1,セミパラメトリックGARCHモデルにおける構造変化点推定量の漸近理論の研究セミパラメトリックGARCHモデルにおけるボラティリティ変動の構造変化点の漸近推定理論を研究した。変化点を含む未知パラメータの最尤推定量とベイズ推定量を考え、その漸近的特性を調べた。これらの推定量の漸近一致性、分布収束また推定量の高次モーメントの収束を示した。ベイズ推定量が漸近有効であるのに対し、最尤推定量がそうでないことを示した。これらの理論的な結果をシミュレーションによって検証した。2,日本の株式収益率に対する構造変化を伴うボラティリティ変動モデルによる分析TOPIXと日経225株価指数を用いて、日本の株式市場における収益率のボラティリティ変動の構造変化点推定について研究した。ボラティリティ変動にはGARCHモデルとGJRモデルを用いた。日本の株式市場におけるボラティリティ変動の主要な構造変化点として、いわゆるITバブルの時期である1999年3月5日から2000年4月14日にかけては、ボラティリティの持続性が低かったこと、2004年5月6日以降、期待収益率の無条件分散が大きく低下したこと、2000年4月の日経225の銘柄入れ替えの影響は期待収益率の自己相関構造の変化に表れた等の結果を得た。3,構造変化を伴うセミパラメトリック共和分回帰モデルの研究日本の年齢別人口構成の分布の変化が所得と消費間の長期均衡関係に与える影響を調べるために、セミパラメトリック共和分回帰モデルの研究をした。日本の所得や消費水準には構造変化があることが知られているため、モデルに未知時点の構造変化があるときの共和分検定の漸近理論を調べた。帰無仮説が、共和分なしの検定統計量は人口構成分布とそれが消費に与える反応関数の基底の取り方によって大きく影響を受けることを示した。また、年齢分布構成の変化が消費に与える影響を明らかにした。