著者
西原 陽子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、ネットいじめに関わる不適切な表現を自動判定する方法を構築し、ネットいじめを減少させることである。本年度は以下の2点を実施した。1点目は、ネット上のいじめに関わる不適切な表現を収集したことである。2点目は、不適切な表現の言語特徴を明らかにし、不適切な表現を自動判定するための言語モデルを作成したことである。1点目の実施の詳細を述べる。ネット上のいじめに関わる不適切な表現が掲載されることが多いWebサイトから、掲載されている文を自動収集するプログラムを作成し、収集を行なった。その後、人手により不適切な表現が含まれる文と、それ以外に分類した。さらに、不適切な表現が含まれる文については4種類に分類した。2点目の実施の詳細を述べる。全ての文に対してその種類を表すラベルを付与した。具体的には不適切な文の4種類に対してと、不適切な表現が含まれない文に対してラベルを付与した。ラベルの系列をLong Short Term Memoryにて学習し、言語モデルを作成した。これにより、文を構成する単語の情報と、文書を構成する文の並びの情報の両方から、次にくる文が不適切な表現を含む文か否かが評価可能となった。今年度の成果の意義は、不適切な表現を含む言語モデルを作成したことにより、隠語や造語を含む不適切な表現の文も判定できるようになったことである。今年度の成果の重要性は、文脈を考慮したことによりある文脈では不適切表現であっても、別の文脈では不適切表現とならないものを判定できる可能性が生まれたことである。
著者
石井 卓
出版者
成蹊大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

多変数非正則保型形式のフーリエ展開を記述するために、実半単純リー群上の球関数の研究を様々な場合に行った。これら球関数は偏微分方程式系によって特徴付けられる。表現論的手法によりその方程式系を導出することから始め、保型形式への応用に耐えうる形でその解の積分表示を求めた。さらに、保型L関数への応用として、これら球関数の積分変換である、ゼータ積分の無限素点における計算を実行し、L関数の関数等式、正則性という大域的な結果を得た。
著者
中野 晃一
出版者
上智大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、天下りまで含めた高級官僚(退職時に局部長以上)のキャリアパスを全省庁にわたって調査し、官僚のインセンティブ構造を解明、各省庁の特徴を類型化し、政策決定・施行へのインプリケーションを分析することを目的とし、2001年1月の中央省庁再編のインパクトにも注目しつつ各省庁の戦後期におけるキャリアパス・天下りの解明を進めてきた。高級官僚のキャリアパスが官庁の選好や優先課題を反映しているものと捉え、官庁とその環境の間の相互作用を重視する視点から平成18年度までには、退職時に本省局長クラス以上まで昇進した高級官僚の官庁内でのキャリアパスと天下りパターンを、宮内庁、国家公安委員会・警察庁、保安庁・防衛庁、厚生省、労働省へと広げた。平成19年度においては、この研究の調査対象を更に法務省・最高裁判所、文部省、科学技術庁、建設省、国土庁等へと展開し、秦郁彦『日本官僚制総合事典1868-2000』、『人事興信録』などの資料・事典を精査し、アクセスを用いてデータの収集、整理を完了した。この結果、国家と社会を跨ぐ官僚ネットワークの生成・再生産・制度化を包括的に解明し、更には2001年の中央省庁再編以降までアップデートしてデータの整理と分析を行ない、その研究成果の一部を論文発表することができた。こうした研究計画の遂行に伴い、本年度の研究経費としては、図書、ソフトウェアなどの消耗品費、研究補助のための謝金が主なものとなった。
著者
WINCHESTER Mark
出版者
神田外語大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、下記の3点を考察の軸として、アイヌ民族の近現代思想史の全体像に迫ることを目標とした。(1)近現代におけるアイヌ思想史の系譜構築の必要性、(2)アイヌ近現代思想史の日本思想史研究上の意義、(3)世界規模の社会的かつ歴史的、または哲学的な思想課題としてのアイヌ近現代思想史。26年度では、書籍などからの基礎的情報と研究上に必要なIT関連機器の補充的整備や、研究対象となる著述家の自筆原稿などの資料調査を行い、27年度では、さらに資料調査を重ね、論文の出版や研究成果の発表を行なった。
著者
飛田 あゆみ
出版者
(財)放射線影響研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.全員が原爆被爆者である、長崎Adult Health Study集団を対象としてシェーグレン症候群に関する調査を行った。1)男性432例、女性662例、計1094例から同意を得られた。平均年齢は71.8歳だった。2)眼球乾燥症状は168例(15.4%)で陽性、口腔乾燥症状は283例(25.9%)で陽性、いずれかの症状をもつものは358例(32.7%)だった。3)涙液分泌量検査(シルマーテスト)は992例で実施し、涙液分泌量が低下していたのは369例(37.2%)だった。4)唾液分泌量検査(サクソンテスト)は990例で実施し、唾液分泌量が低下していたのは198例(20.0%)だった。5)涙液または唾液いずれかの分泌量が低下していたのは484例(48.3%)だった。6)血清学的検査は1094例で行い、抗SS-A/Ro抗体は40例(3.7%)で陽性、抗SS-B/La抗体は14例(1.3%)で陽性だった。7)ローズベンガル染色検査は283例で実施し、3点以上は142例だった。8)唾液腺エコー検査は389例で実施し、55例でシェーグレン症候群を疑う所見があった。9)唾液腺MRI検査は180例で実施し、11例でシェーグレン症候群を疑う所見があった。また、耳下腺に脂肪沈着を証明できたのは50例だった。2.上記検査の結果を総合してシェーグレン症候群と診断されたのは33例で、調査参加者1094例の3.0%だった。統計学的に放射線被曝線量との有意な関係はなかった。3.唾液分泌量と放射線被曝線量に統計学的に有意な負の相関があった。
著者
吉田 寛
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

相互作用付リンデンマイヤ・システム上で多細胞の発展モデルを構築した。記号計算を用いて、細胞タイプの多様性とタイプ比の関係式を導出し、それが楕円曲線とフィボナッチ数に関係する曲線で表現されることが分かった。更に、より分子レベルに立脚したDachsous : Fatヘテロダイマーモデルを構築して、素イデアル分解を用いて、細胞鎖が再生する条件を導出した。これらの事から、多細胞の成立する条件:多様性と再生の条件が得られた。
著者
権 学俊
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、近現代日本における天皇制とスポーツとの関係の解明を目的とし、天皇制とスポーツとの関わりに関する分析を通して、日本社会における社会的特質と国民意識を明らかにした。本研究を通して、戦前スポーツイベントが天皇制と国家的な秩序への同意を強化し、国家との一体感を推し進める装置として巧妙に機能していったことが明らかになった。また、戦時下における相撲は皇室・皇族と深く関わりながら、国体・日本精神や精神修養としばしば結びつけられて位置づけてられていた。戦後にも「象徴天皇制の公認と浸透」を増幅させる装置として、スポーツイベントが重大な意味をもたらしてきたことも、本研究を通して明らかになった。
著者
眞嶋 良全
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

高校までの教育,科学技術概念の基礎的理解,日常的なメディアへの接触頻度,認知判断傾向等の個人差変数が,疑似科学的信念の強度に与える影響について,変数間の関係性を統計的に分析する共分散構造分析を用いて検討した。その結果,正しい科学的知識(科学リテラシー)の獲得は疑似科学的な信念を弱める一方で,認知的な安定性を求める傾向が拙速な判断に関与している可能性が指摘された。
著者
彬子女王
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究の一番大きな成果は、大英博物館の日本コレクションの草創期である19世紀後半から、コレクションが盤石なものと変容を遂げていく約100年間の日本関連の展覧会図録の調査を通して、大英博物館の学芸員たちの日本美術に対する理解の変遷の過程が明らかになったことである。19世紀後半のコレクターの主観が反映されたやや偏った日本美術理解が、日本から直接情報が入ってくるようになったことで徐々にその誤差が少なくなり、現代の漫画や伝統工芸の展示などを通して、大英博物館独自の日本理解を示すようになる過程を追うことができた。
著者
高橋 洋成 池田 潤 和氣 愛仁 永井 正勝
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、前二千年紀から前一千年紀にかけて、古代オリエント地方で広く親しまれたギルガメシュ叙事詩のデジタル・アーカイブを構築するものである。ギルガメシュ叙事詩は、前二千年紀初頭に成立した古バビロニア語版と、前二千年紀末に成立した標準版が、ある程度現存している。そこで、古バビロニア語版と標準版の異同をデジタル処理可能なかたちでアーカイブ化することで、テクストの対応関係ならびに発展段階をある程度まで可視化することができた。本研究で開発されたデジタル化の枠組みは、言語研究や文学研究に広く応用することが可能である。
著者
高橋 めい子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の主題は「放射線誘発甲状腺がんの発症リスクに関与する遺伝子多型性SNPsの同定」である。申請者らはチェルノブイリ原子力発電所の事故により乳幼児期に放射能被爆を受けたベラルーシ人から、早発型甲状腺乳頭がんの患者群の検体と、その患者と年齢、性別、被爆時の居住地が一致する健常者群の収集をし、全ゲノム関連解析GWASを実施した。
著者
金田 茂裕
出版者
東洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では,算数1年の減法の求残・求補・求差の場面理解,および,2年の乗法の被乗数と乗数に対する理解に焦点をあて,算数作問の認知過程とその難しさを明らかにした。さらに,算数の教科書に掲載されている作問課題の種類・特徴を明らかにし,算数作問の教育的効果として何が期待されているかを明らかにし,教材の種類・配列順序・新しい教材の開発・指導方法の教育実践のこれからのあり方を提案した。
著者
小柳津 誠
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

トリチウム水によるSUS304ステンレス鋼の自己不動態化阻害により、腐食が大きく促進されることが明らかとなった。また、この効果はpH、溶存酸素濃度、トリチウム濃度に依存しており、pHは低いほど、トリチウム濃度は高いほど影響が大きいが、溶存酸素無しには有意な影響が現れないことが明らかとなった。そして溶存酸素濃度はトリチウム濃度の増加とともに影響を強く及ぼす濃度が高くなり、また腐食促進効果が高くなることが明らかとなった。
著者
三代川 寛子
出版者
上智大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

19世紀末から20世紀初頭にかけての時期、エジプトのコプト・キリスト教徒が主体となって推進された文化ナショナリズムの思想、運動を3つの事例から検討した。(1)コプト暦の元日祭の復興運動、(2)コプト語の復興運動、(3)コプト博物館の設立とその国有化がその3事例であり、それぞれの事例から、コプト・キリスト教徒の間では、宗教的アイデンティティがエジプト民族としてのアイデンティティ構築に重要な役割を果たしていたことを明らかにした。
著者
高木 潤野
出版者
長野大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

場面緘黙は話す力があるにも関わらず学校等で話せないことを主な症状とする。場面緘黙の治療については知見が蓄積されつつあるものの、本人が治療への参加に消極的だと改善が困難である。そこで本研究では「セルフ・エフィカシー(自己効力感:SE)」に着目した。SEとは「自分がその行動をどの程度うまくできるかの予期」であり、心理教育によって「自分の緘黙症状は治療によって改善させることができる」というSEを高めることができれば治療への参加を積極的にさせることができると考えた。このことから本研究では、場面緘黙当事者を対象にSEを高めるための心理教育を行いSEと治療への参加の積極性の関係を明らかにすることを目的とした。2017年度の研究では、場面緘黙当事者への心理教育に用いる心理教育教材を作成し、10名の場面緘黙当事者を対象に心理教育及び個別の介入を開始した。心理教育教材は4つの章から構成した。Bandura (1977) は、SEを変化させる情報源として「言語的説得」「代理的経験」「情動的喚起」「遂行行動の達成」の4点を挙げていることから、各回がこの4点と対応した内容となっている。各セッションはそれぞれ60分程度で実施できる内容とした。治療プログラムは4回の心理教育及び事前・事後の計測を含む計6セッションで構成されている。心理教育は個別又は最大4名の小集団によって実施しており、1名についてはすでに4回の心理教育を終了した。今後は6回の治療プログラム(心理教育及び個別の介入)を完了し心理教育の効果を検証するとともに、その後も介入を継続して場面緘黙の改善が見られるかを明らかにする。また作成した心理教育教材については印刷し、より多くのケースで利用できる形で公表する予定である。
著者
吉光 喜太郎
出版者
東京女子医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

内側に黒色アルマイトを施したアルミ製筐体内に固定した10インチタブレット端末の映像をAIプレートにて空中投影し、Intel RealSenseを用いて非接触ジェスチャー操作可能な空間投影装置の試作機を製作した。空間投影性能は、水平・垂直方向にそれぞれ+/-36 deg、+/- 38 degに画像認識性能を有する画像出力を可能であった。動作種は1)モデルをつまんで回転させる動作、2)モデルの拡大縮小をする2種類とした。本ジェスチャーインタフェースは脳神経外科血管内治療時に執刀医が未破裂脳動脈瘤に塞栓コイルを誘導する際に3次元的にモデルを観察する際に使用し、2名の執刀医より有用な評価を得た。
著者
和田 成一
出版者
北里大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

低線量放射線の細胞応答は高線量域のデータから推察されてきた。しかし、この高線量域から低線量域への外挿データでは説明のつかない現象、放射線超感受性現象が広く知られてきた。この現象のメカニズムはバイスタンダー効果と生物学的機能不全によると考えられているが詳細は明らかにされていない。本研究では、この現象を誘導する引き金は放射線による細胞膜応答であり、細胞膜応答から細胞外に細胞膜応答分子のスフィンゴミエリナーゼが分泌され、この分子によって細胞はDNA修復不全に陥るため、放射線超感受性が誘導されることを明らかにした。つまり、放射線超感受性現象は細胞膜応答によりバイスタンダー効果と生物学的機能不全が連動していることを明らかにした。
著者
笹澤 吉明
出版者
高崎健康福祉大学短期大学部
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

著者はこれまで、小中高生を対象にいじめと精神保健指標との関連を、質問紙調査で検討し、いじめる、いじめられる両経験群の自尊感情、登校意欲、希死念慮等の精神保健指標が他群(加害、被害、傍観、無関係)に比べ最もネガティブであることを明らかとした。それを踏まえ、本研究は、中学生男女を対象に、縦断的な疫学研究の手法を用い、両経験群の加害者から被害者になるパターン(加害-被害移行型)と、被害者から加害者になるパターン(被害-加害移行型)の分布を明らかにすることと、加害-被害型と被害-加害型の精神保健指標およびいじめる理由・方法に差があるのかどうかを検討することを最終目的とする。群馬県内の公立中学校7校の平成16年度の2年生男女1,533名を対象に、自記式の質問紙調査を、平成16年7月、平成17年3月、平成18年3月の3度に亘り実施した。2次調査までの結果1,329名(86.7%)の有効回答(率)を得、基礎調査時にいじめを受けておらず、2次調査時にいじめを受けた者は、男子では希死念慮、不登校気分が高くなり、女子では孤独感、不登校気分が高くなり、社会的支援が低くなることが明らかとなった。また、いじめ被害の変遷、被-無群(基礎調査時は被害群で2次調査時は被害を受けない群、以下同様)、無-被群、被-被群の無-無群を基準とした各精神保健指標への相対危険度は、男子の無-被群の希死念慮への相対危険度(13.3)、男女の無-被群の不登校気分への相対危険度(それぞれ10.9、11.0)、男子の無-被群、被-被群の孤独感への相対危険度(それぞれ10.1、10.5)であり、縦断的な解析においても、いじめは精神保健指標をネガティブにさせることが明らかとなった。3回目の調査では1,269名(82.8%)の有効回答を得、このデータをリンケージさせ、上記の最終目的につき解析を進めているところである。
著者
権 学俊
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は近現代日本におけるスポーツ・ナショナリズムの解明を目的とし3年間スポーツ・ナショナリズムを「支配・管理」「統制」「同和」「排除」「抵抗」という側面から検討した。本研究を通して、戦前スポーツイベントが天皇制と国家的な秩序への同意を強化し、国家との一体感を推し進める装置として巧妙に機能した点、戦後天皇・皇族が様々なスポーツ大会と関わりながら、「象徴天皇制」「大衆天皇制」の基盤強化を図るとともに、国民との距離を縮め新しい皇室像をアピールしていったことが明らかになった。
著者
金 友子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、日本に居住する在日朝鮮人のうち、韓国を自らの国とする学生団体の、1960年代から70年代における思想と行動を考察することを目的とした。研究期間内には、第一に資料収集とその保存のための電子化、第二に収集した資料を読み込み彼ら・彼女らの思想と行動を記述・分析をおこなった。さらに当時活動していた人物への聞き取り作業も実施した。資料は約500点の存在が確認され、そのうち貸与可能なものは電子化した。分析の結果、彼ら・彼女らは無条件の「祖国」に同一化していたのではないこと、また、祖国意識形成の装置として母国訪問団や翻訳資料など、「祖国」との物理的・時間的距離を埋める装置の存在が確認された。