著者
石井 卓
出版者
成蹊大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

多変数非正則保型形式のフーリエ展開を記述するために、実半単純リー群上の球関数の研究を様々な場合に行った。これら球関数は偏微分方程式系によって特徴付けられる。表現論的手法によりその方程式系を導出することから始め、保型形式への応用に耐えうる形でその解の積分表示を求めた。さらに、保型L関数への応用として、これら球関数の積分変換である、ゼータ積分の無限素点における計算を実行し、L関数の関数等式、正則性という大域的な結果を得た。
著者
中野 晃一
出版者
上智大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

本研究では、天下りまで含めた高級官僚(退職時に局部長以上)のキャリアパスを全省庁にわたって調査し、官僚のインセンティブ構造を解明、各省庁の特徴を類型化し、政策決定・施行へのインプリケーションを分析することを目的とし、2001年1月の中央省庁再編のインパクトにも注目しつつ各省庁の戦後期におけるキャリアパス・天下りの解明を進めてきた。高級官僚のキャリアパスが官庁の選好や優先課題を反映しているものと捉え、官庁とその環境の間の相互作用を重視する視点から平成18年度までには、退職時に本省局長クラス以上まで昇進した高級官僚の官庁内でのキャリアパスと天下りパターンを、宮内庁、国家公安委員会・警察庁、保安庁・防衛庁、厚生省、労働省へと広げた。平成19年度においては、この研究の調査対象を更に法務省・最高裁判所、文部省、科学技術庁、建設省、国土庁等へと展開し、秦郁彦『日本官僚制総合事典1868-2000』、『人事興信録』などの資料・事典を精査し、アクセスを用いてデータの収集、整理を完了した。この結果、国家と社会を跨ぐ官僚ネットワークの生成・再生産・制度化を包括的に解明し、更には2001年の中央省庁再編以降までアップデートしてデータの整理と分析を行ない、その研究成果の一部を論文発表することができた。こうした研究計画の遂行に伴い、本年度の研究経費としては、図書、ソフトウェアなどの消耗品費、研究補助のための謝金が主なものとなった。
著者
WINCHESTER Mark
出版者
神田外語大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究は、下記の3点を考察の軸として、アイヌ民族の近現代思想史の全体像に迫ることを目標とした。(1)近現代におけるアイヌ思想史の系譜構築の必要性、(2)アイヌ近現代思想史の日本思想史研究上の意義、(3)世界規模の社会的かつ歴史的、または哲学的な思想課題としてのアイヌ近現代思想史。26年度では、書籍などからの基礎的情報と研究上に必要なIT関連機器の補充的整備や、研究対象となる著述家の自筆原稿などの資料調査を行い、27年度では、さらに資料調査を重ね、論文の出版や研究成果の発表を行なった。
著者
彬子女王
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

本研究の一番大きな成果は、大英博物館の日本コレクションの草創期である19世紀後半から、コレクションが盤石なものと変容を遂げていく約100年間の日本関連の展覧会図録の調査を通して、大英博物館の学芸員たちの日本美術に対する理解の変遷の過程が明らかになったことである。19世紀後半のコレクターの主観が反映されたやや偏った日本美術理解が、日本から直接情報が入ってくるようになったことで徐々にその誤差が少なくなり、現代の漫画や伝統工芸の展示などを通して、大英博物館独自の日本理解を示すようになる過程を追うことができた。
著者
高橋 洋成
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

本研究の目的は、ギルガメシュ叙事詩の古バビロニア語版(前二千年紀初め)と標準版(前二千年紀末)をデジタル的に比較し、言語特徴や表現の違いに着目して、後者が前者をどのように編集し、その背景にあったものは何かを考察することである。ギルガメシュ叙事詩の古バビロニア語版は、完全ではないもの比較的状態の良い2つの資料、すなわちペンシルバニア粘土板(OB II)とイェール版(OB III)が現存している。一方、標準版の粘土板は大きく破片化してはいるものの、研究者らによって粘土板I~XIIとして復元されている。このうち古バビロニア語版と標準版とのまとまった対応が確認されるのは、標準版I~IIIである。以上を踏まえ、平成28年度に実施した研究は次のとおりである。1. 復元された標準版I~III(合計831行)について、転写テキストのデジタル化を行った。具体的には以下の作業である。(1) A. R. George, The Babylonian Gilgamesh Epic (Oxford, 2003)の転写テキストに基づき、Text Encoding Initiative (TEI)に準拠したXMLフォーマットを作成した。(2) 今後、言語特徴や表現の調査を行うために、それぞれの語に対してTEIタグを付け、形態情報を記述した。この際、アッカド語の形態情報を過不足なく記述するために、形態論的な枠組みの精査を行い、それに基づいてタグを整理した。2. 古バビロニア語の粘土板OB II、OB III(合計528行)のデジタル化を開始した。具体的には、それぞれの粘土板をTEIに準拠したXMLフォーマットで記述し、個々の楔形文字および個々の語ごとにタグを付けた。3. 楔形文字粘土板の転写方法について、12月に開催されたデジタル・ヒューマニティーズのワークショップで発表した。
著者
吉光 喜太郎
出版者
東京女子医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

空間投影装置の評価と改良昨年度試作した空間投影装置の空間投影性能に関する評価を実施し、水平方向、垂直方向にそれぞれ+/-36 deg、+/- 38 degの角度内に画像認識性能を有する画像出力を可能であることを確認した。画像出力光量は識別に十分であった一方、投影画像の解像度は臨床使用に耐えうるものではなく、AIプレートの改良が必要であることがわかった。そこで空間投影機構は変更せずAIプレートの変更による機器の改良を検討した。AIプレートは本年度早期の時点で解像度の高い改良版への置換を検討していたが、生産が予定に沿わず本年度の研究期間中に導入することが不可能になったため、本年度は画像を操作するジェスチャーインタフェースに注力し開発を推進した。ジェスチャーインタフェースの改良動作捕捉カメラにはIntel RealSense SR300を用い、試作機製作時に使用した機材の改良版である最新機材を使用した。動作種は1)人差し指と親指でつまむようにしてモデルを回転させる動作、2)手全体をRealSenseに近づけたり遠ざけたりすることで表示モデルの拡大縮小を実現する2種類とした。開発したジェスチャーインタフェースの有用性は脳神経外科血管内治療時に執刀医が未破裂脳動脈瘤に塞栓コイルを誘導する際にモデルを3次元的に観察するときに使用し、臨床環境にて評価を実施した。2名の執刀医が6症例にて使用経験をした後、操作性、表示性、効率性、将来性、動作種の適格性に関しアンケートを実施し(5段階評価で5が最高スコア)操作性5.00、表示系4.0±1.0、効率性4.0±1.0、将来性4.67±0.58、動作種4.0±1.0の評価を得た。以上のように本研究における開発を目指した空間投影表示インタフェースは、医療画像表示機器に対し直感的なジェスチャーで非接触で操作することを可能とした。
著者
勝亦 陽一
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

研究全体の概要は、発育期の子どもを対象に「モノマネダンス」による運動技術学習プログラムの開発を行うことであった。2年の研究期間には、投能力を向上させるための視聴覚教材を開発した。股関節および肩甲骨の動きを改善するために作成された教材は、数多くの少年野球選手によって実践された。選手へのアンケート調査を行った結果、肩や股関節周りが柔らかく速く動くようになった等、の意見があった。
著者
権 学俊
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は近現代日本におけるスポーツ・ナショナリズムの解明を目的とし3年間スポーツ・ナショナリズムを「支配・管理」「統制」「同和」「排除」「抵抗」という側面から検討した。本研究を通して、戦前スポーツイベントが天皇制と国家的な秩序への同意を強化し、国家との一体感を推し進める装置として巧妙に機能した点、戦後天皇・皇族が様々なスポーツ大会と関わりながら、「象徴天皇制」「大衆天皇制」の基盤強化を図るとともに、国民との距離を縮め新しい皇室像をアピールしていったことが明らかになった。
著者
安井 正佐也 木山 博資 水村 和枝 時實 恭平 校條 由紀 吉村 崇志
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究は,異なるストレスを負荷した二つのモデル動物(慢性疲労症候群CFSモデル,線維筋痛症FMモデル)の病的疼痛について研究を行った.その結果,いずれのモデルにおいても機械的アロディニアや筋性痛覚過敏が誘発することを実証した.さらに末梢組織に炎症等は認めないが,いずれのモデルにも,腰髄後角でミクログリアの活性化を認めた.このミクログリア活性化を薬剤(ミノサイクリン)で抑制すると,有意に機械的アロディニアおよび筋性痛覚過敏を抑制した.この事から,ストレス負荷によって生じる異常な疼痛の発症に,ミクログリアが大きく関与していることが示唆された.
著者
高橋 沙奈美
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

平成28年度は、ロシアでのフィールドワークを中心に、(1)モスクワ総主教庁による列聖のプロセスと聖人崇敬、(2)モスクワ総主教庁とエキュメニカル運動の2点を研究する計画であった。(1)については、ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世一家の崇敬と列聖を中心に研究を進めた。2016年3月にモスクワで行った「列聖に関する聖宗務院委員会」の委員であるオレグ長司祭、イリヤ・グラズノフ絵画・彫刻・建築アカデミーのボリシャコフ教授に対するインタビュー調査、またエカテリンブルグで行ったニクーリン司祭、エカテリンブルグ郷土博物館学芸員ネウイマン氏および歴史家シートフ氏に対するインタビューと州立図書館で収集した文献を検討した。調査結果については、国内の研究会及び国際ワークショップで報告することができた。現在、報告内容を基に、論文として発表する準備を進めている。また(1)について、帝政末期の君主主義的傾向の強かった司祭、クロンシュタットの聖イオアンももうひとつの事例として研究する予定を立てていた。これについては、Kizenko N. A Prodigal Saint: Father John of Kronstadt and the Russian People (The Pennsylvania State University Press, 2000)をはじめとする先行研究を収集・精読し、現地調査のための準備を進めた。(2)のエキュメニカル運動については、先行研究を調査した結果、エキュメニカル運動の全体像を把握するためには、かなり広範囲にわたってアーカイブ調査をする必要があることが明らかになり、短期滞在の調査では不十分であった。
著者
田浦 太志
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

本年度は昨年度に引き続き、アグロバクテリウム法による大麻への遺伝子導入システムの確立を検討した。まず大麻成分生合成酵素であるTHCA synthase及びOLA synthaseのセンス及びアンチセンス遺伝子を有するアグロバクテリウムを大麻幼植物および培養細胞に感染させ、各種ホルモン添加によりカルスあるいは不定胚の形成を検討した。この結果、不定胚は得られなかったものの組み換えカルスを安定的に得る方法を確立した。しかしながら得られた組み換えカルスの成長速度が極めて遅く、多くがサブカルチャー中に枯死したため組み換え体を植物体として得るには至らなかった。そこで新たな方法として、細胞培養を必要としない形質転換法として近年注目を集めているFloral Dip法について検討を行った。材料として本学薬用植物園で栽培した開花時期の大麻雌株を用い、その地上部を上記アグロバクテリウムの培養液に数秒間浸すことにより感染させ、次いで、グロースチャンバー中で短日処理を行うことにより種子の成熟を検討した。しかしながら、アグロバクテリウム処理した植物体はダメージが大きく、種子を成熟させるに至らないことが判明した。Floral Dip法を行う際に、植物体をSilwet L-77などの薬剤で処理することで損傷を免れた例が報告されていることから、現在それらを含め、Floral Dip法の各種条件検討を行っており、今後、遺伝子導入を確認した種子について植物の栽培を行い、植物形態やカンナビノイド含量の変化について検討する計画である。本研究は遺伝子工学による組み換え大麻の作出とカンナビノイド含量のコントロールを目的としたが、本年度までにこれを達成するには至らなかった。しかしながら、本研究では細胞レベルで大麻を形質転換する方法の確立に成功しており、これは組み換え大麻作出に向けた重要な成果であると考えられる。
著者
松隈 浩之
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

本年度は昨年に引き続き調査を行うとともに、調査結果にもとづいたコンテンツ制作を行った。●調査結果調査対象は前年と同様アヌシーアニメーション国際映画祭とし、前年の調査で不足していたマーケットやリクルートといったビジネス面にも比重をおいての調査とした。調査内容はアニメーション表現、手法の動向、各国の取り組み、3DCGの活用状況と今後の可能性を主としており、本研究院が刊行する紀要vol.8に報告資料として採択、掲載されている。結果として、世界のアニメーション業界における3DCGの需要は企業ベースのみならず、学生を含む個人単位でも確実に増加していることが判明した。一方で、日本における3DCGの受入状況は現場の作業環境から消費者の支持獲得に至るまで、浸透しているとは言えず、3DCGとどのように向き合っていくかが課題となっている。以上の点から、今回の3DCGによる新しい表現への取り組みの有用性を確信することができた。●制作日本の伝統的な光源を用いたフル3DCG映像作品を制作するにあたり、ベースとなる舞台を佐賀市三瀬村やまびこ交流館とした。本建造物は江戸時代より続く寄棟づくりによる農家を保存したものであり、障子や畳、漆喰の壁などによる日本の伝統的な光環境を有している。建造物内で撮影によりHDRパノラマ画像を採取し、イメージベースドライティングの技術を用いて3DCG内の光源へと変換、日本的なライティングを施したイメージを作成した。また、作品の題材を架空の妖怪による寸劇とし、ストーリー構成おこなった。日本らしさを有した作品に仕上がったと確信している。今後、同じ手法をベースにより多くの作品を制作し、本課題の有用性をさらに確固たるものへとしていきたい。
著者
千田 有紀
出版者
武蔵大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

本研究は、日米の性暴力への取り組みを、とくに暴力主体である男性に焦点をあて、調査、分析するものであった。「男性性」のあり方を理論的に検討したあとで、アメリカで行われている男性への暴力への取り組みを調査することによって、男性を暴力の「主体」としないためにどのようなプログラムが有効であり、何が必要とされているのかを考察した。とくに暴力の「予防」プログラムについての具体的な知見が得られたことは、重要な成果であった。
著者
山中 千恵
出版者
仁愛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

本研究を通じて日本の戦争体験を描いたマンガやアニメが受容されるとき、作品の評価や作品の読書・視聴体験が、かならずしも各国における戦争の記憶や日本の歴史的問題と直接的にむすびつけられて語られるわけではないということが明らかになった。語りは、受容された国におけるマンガ・アニメ文化の位置づけと、読者の「メディア体験史」との関係から、異なるやり方で歴史意識と接続される。以上の結果から、今後の研究において、個人の記憶と集合的記憶の間にメディア体験それ自体が生み出す記憶という中間領域を想定し、考察を進める必要があることがわかった。
著者
上土井 貴子
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

現代社会において子供たちは幼少時期から、様々な環境ストレスにさらされている。そのなかでも適切でない光環境に影響された子供たちは、睡眠覚醒リズムが乱れ始め、自律神経症状や不定愁訴が出現するようになり日々の疲労が回復することなく新たな疲労状態が蓄積していき、最終的には精神状態の疲労までも引き起こす小児慢性疲労症候群になっていく危険性がある。しかしながら、小児慢性疲労症候群の根本的な治療はまだ確立されておらず、社会生活への復帰がかなり遅れてしまう。このことは患者自身の不利益になるのみならず、日本社会の医療費増加、将来的な生産性の低下などの問題を含むと予想される。そのため、私たちは根本的な小児慢性疲労症候群の患者に対しての治療法の確立のため、生体リズムを司る時計遺伝子に注目し、ヒトの時計関連遺伝子の発現に影響が大きいと考えられる高照度光療法を用い、生体リズムを改善させ、時計遺伝子の発現量の周期パターンを評価した。対象としたのは熊本大学医学部付属病院を受診し、小児慢性疲労症候群と診断された患者30人の時計遺伝子を経時的に測定し、ヒトにおけるmPer2,Clock時計遺伝子の発現プロフィールを得て、健常人と比較検討し、結果リズム異常が有意的に認められた。次に高照度光療法施行し治療の前後での時計遺伝子の発現パターン評価した。結果、臨床症状の改善とともにリズム回復を認める事ができた。このことは、小児型慢性疲労症候群の患者にとってmPer2,Clock時計遺伝子の発現プロフィ一ルのリズム異常は発症因子として考えられる事が示唆された。さらに今年度は高照度光療法の有効群と無効群との比較を行い、時計遺伝子の改善の有無の有意的に認め、小児慢性疲労症候群の患者において血清日内メラトニン、コルチゾールの変動測定、深部体温測定などの他の生体パラメーターの中で時計遺伝子発現改善が有意な治療効果指標になる事が認められた。
著者
小林 雄一郎
出版者
東洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

今年度は、前年度に行った基礎研究の結果を対外的に発表し、最終年度の方向性を決定するためのフィードバックを関連分野の研究者より得た。とりわけ、Second International Symposium on EFL Writing in East Asia、Symposium on Second Language Writing (SSLW) 2015、Pan-Pacific Association of Applied Linguistics (PAAL) 2015、The 19th Joint Workshop on Linguistics and Language Processing (JWLLP)、Language in Focus (LIF) 2016などの国際会議での発表を多く行った。そして、本研究で実装した自動採点システムで用いられている言語項目リストを策定した研究者たちから直接フィードバックを得られたのは非常に大きい成果であった。また、単に学習者の言語的パフォーマンスから習熟度レベルを推定するだけでなく、自動的なフィードバックの仕方を想定した統計モデルの策定に着手した。さらに、学習者の母語による習熟度発達過程の違い、タスクによる言語的パフォーマンスの違いなどを考慮したデータ解析の方法論を模索し、試験的な分析を積み重ねた。そして、本研究ではこれまで用いられてこなかった言語的特徴の自動抽出に向けて、様々な語彙多様性指標やリーダビリティ指標を網羅的に算出するためのプログラムや、未加工の英文から様々なテキスト情報を抽出するためのプログラムを実装し、その解説とともに論文形式で発表した。最後に、関連分野の研究者とともに、国内では恐らく初めてとなるライティングおよりスピーキングの自動採点・自動評価に関するシンポジウムを年度末に開催し、主に言語教育関係の参加者から好評を得た。
著者
樋口 輝久
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

これまでに行われた歴史的ダムの保全・改修の事例を調査し、ダムの形式ごとに特徴、問題点を整理した。さらに、保全・改修の方針、手法をもとに、a)堤体補強,b)嵩上げ,c)凍結融解防止,d)用途変更,e)残置,f)形式変更,g)付属設備の改修の7項目に分類し、個々の事例を紹介し、それぞれに対する評価を行った。特に歴史的価値が失われてしまった事例に対しては、採るべき適切な保全方法について言及した。
著者
鍋島 憲司
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

人々が都市で活動を行う結果,交通量が多く危険が発生しやすい地点というものが存在する.そのような地点を発見する手法を,実際の交通条件を反映した都市モデルと,マルチエージェントシステムと呼ばれるアルゴリズムを利用することによって開発した.また開発した手法を建築空間に応用し,どのような平面形状でパニックが発生しやすいのかを明らかにする評価手法を確立する必要がある.そのための基礎的研究を行った.
著者
大澤 匡弘
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

慢性疼痛の中でも神経の損傷に伴う痛みである神経障害性疼痛は、既存の鎮痛薬では緩和することが難しい疼痛の一つである。本研究では神経障害性疼痛モデルを作製し、大脳における神経系機能の亢進について検討を行い、その調節による疼痛緩和の可能性について検討を行った。神経障害性疼痛モデルマウスにみられた痛覚過敏は、神経伝達物質の放出を抑制するガバペンチンにより改善した。このガバペンチンの効果は、神経障害後 3 日間の処置でみられたが、神経障害による痛覚過敏が出現してからの処置では改善しなかった。このことから、ガバペンチンは大脳へ作用して神経障害による痛覚過敏の形成を抑制することが明らかになった。次に大脳における神経系細胞の機能変化について検討を行った。大脳の帯状回皮質においてミクログリアならびにアストロサイトの活性化が認められた。また、ミクログリアの活性化を調節する薬物であるミノサイクリンを帯状回皮質へ処置すると神経障害による痛覚閾値の低下が抑制された。このことから帯状回皮質におけるミクログリアの活性化は神経障害による痛覚過敏の発現に関与することが明らかになった。また、ミクログリアの抑制は、アストロサイトの活性化も抑えた。さらに、興奮性の神経伝達に関わるグルタミン酸神経の受容体機能の神経障害による亢進も、ミノサイクリンにより改善した。これらのことから、神経障害により帯状回皮質においてミクログリアが活性化し、この脳領域での興奮性神経伝達を亢進させるため、痛覚過敏が生じていることがわかった。