著者
増島 俊之
出版者
日本公共政策学会
雑誌
公共政策研究 (ISSN:21865868)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.108-126, 2001-10-31 (Released:2022-01-18)
参考文献数
24

2001年1月6日,再編成された新しい省庁が発足した。省庁半減といわれた抜本的な中央省庁笠の改革は,かって橋本龍太郎内閣によって1996年10月の総選挙において公約された。この改革案は選挙後直ちに設置された内閣総理大臣自ら座長とする行政改革会議において検討され,1997年12月に最終報告が提出されたーこの最終報告の内容を実現するために中央省庁等改革基本法案が1998年に国会に提出され,成立を見た。この中央省庁等改革基本法を踏まえ,橋本政権を引き継いだ小渕恵三政権は,各省庁等設置法等に着手し,最終報店に盛り込まれた要法律改正事項の立法化に成功したした。これらの改革事項は,次々と21世紀初頭に施行される。本稿は,この中央省庁等改沖.(以下「橋本・小渕行革」と略称。)が,20世紀後半50年における行政改革の努力の中でどのような位骰付けを持つかを明らかにするとともに,それは21世紀におけるどのような行政改革の展望につながっていくかについて考察する。そこで,本稿は,21世紀後半50年間において,それぞれのときの政枠が取り組んだ行政改革の進展を辿り,行政改革の改革目標,改革事項,改革手法,改吊の成呆,その重点の変遷を述べることとする。特に,1981年に鈴木善幸内閣の下て発足した第2次臨時行政調査会の答申を土台とするいわゆる臨調行革は,国鉄・電電等三公社の民営化をはじめ多くの成果を挙げたものであるか,その臨調行革との対比で橋本・小渕行革はどのような特色を持つかを明らかにする。最後に,行政改革に関する国会審議などを参考にしつつ,戦後50年の時期をとらえても画期的内容をもつ橋本・小渕行革がどのような問題点を抱え,かつそれらが21世紀におけるどのような行政改革の課題あるいは展望につながっていくかについて述べることとする。