著者
安原 隆寛 多田 弘史 松崎 尚志 西島 毅志 増田 陽平 横田 忠明
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.467-472, 2011-09-25 (Released:2011-12-09)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

関節リウマチにおいて悪性リンパ腫の合併はまれに経験される.メトトレキサート(MTX),生物学的製剤治療中に発症した悪性リンパ腫の2症例を経験したので報告する.【症例1】55歳,女性.平成15年よりMTX 6 mg/ 週開始され,平成20年5月よりインフリキシマブ開始された.同年7月頃より左上腕に硬結,両手背に潰瘍形成出現したため,左上腕の生検を受け,悪性リンパ腫と診断された.インフリキシマブ中止後,腫瘍消失し,潰瘍も治癒した.【症例2】71歳,女性.平成12年よりMTX 6 mg/ 週内服中,H18右上顎の口内炎を自覚した.生検にて悪性リンパ腫と診断され,化学療法・放射線療法を受け,悪性リンパ腫は寛解した.【考察】RA患者の悪性リンパ腫発症は有意に高く,相対危険度は2倍という報告がある.そのリスクファクターとしてRAの病態そのものと,RAに対する治療薬との関連性が指摘されている.今回我々が経験した2例は,RAに対する治療薬が悪性リンパ腫の発生に関与したと推測された.
著者
増田 陽平 吉村 洋一 岡村 武志 松崎 尚志 多田 弘史
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.377-381, 2009-09-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
9
被引用文献数
1

我々が経験したinsufficiency fracture(脆弱性骨折)の7例について画像に関する考察を含め報告する.平均年齢79.7歳,男女比1:6,仙骨翼両側骨折が71.4%,片側が28.6%であった.恥骨骨折合併を42.9%に認めた.何れの患者も自制疼痛内安静度自由とし軽快した.画像的特徴としてレントゲンで骨折を判別するのは困難で,MRIにおいて特にSTIR(脂肪抑制)では仙骨部の信号変化を捉えやすかった.骨シンチでは両側骨折の場合に蝶形,H型,Honda's signと呼ばれる集積増を認める.CTでは骨折線もしくは硬化像を確認できた.日常診療で本疾患は見落とされやすいために常にその存在を念頭に置き,検査においては,恥骨骨折の存在は本疾患を考慮し,感度の高いMRI,骨シンチでスクリーニングし特異度の高いCTで確定する.