著者
吉川 健治 外山 和隆 戸口 啓介 山口 拓也 平林 邦昭
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.713-716, 2011-07-31 (Released:2011-09-14)
参考文献数
14
被引用文献数
1

絞扼性イレウスでは,高率に腹水が出現する。今回,絞扼性イレウスにおける腹水が腸管虚血がどの程度進行した段階で生じるのかを明らかにする。対象と方法:緊急開腹手術が施行された絞扼性イレウス20例を6例の壊死群,14例の非壊死群に分け,以下の項目を比較検討した。1.両群の初診時の腹水の出現率 2.SIRS陽性率 3.血液生化学的検査値(CRP,PK,LDH)異常の出現率。結果:SIRS陽性率,血液生化学的検査値の異常値出現率のいずれも壊死群,非壊死群で有意差は認めなかった。SIRS陽性率は壊死群33% 非壊死例21%であった。一方,腹水出現率は壊死群100%,非壊死群で86%であった。結語:絞扼性イレウスにおける腹水の出現は,腸管壊死前でさらにSIRS項目,血液生化学的異常値が出現する以前に出現すると考えられる。