著者
外崎 紅馬
出版者
会津大学短期大学部
雑誌
会津大学短期大学部研究年報
巻号頁・発行日
vol.64, 2007-03-25

近代国家の成立期に形成された自然権を基礎として、個人は自由かつ平等であり生命、自由および財産等についての権利を権利章典により保障しているアメリカによって、日本の憲法改正草案は起草された。また、資本主義社会の発展にともない発生した社会問題を背景として、国家による積極的な介入による保障規定がGHQ の人権委員の主張により草案に盛り込まれた。さらに、それらの保障規定を、人たるに値する生活を保障する権利として明確化するため、日本側の憲法審議により、現行憲法第25 条に重要な項目として第1項、生存権が追加された。本稿では、現在の日本国憲法の成立に影響を与えた背景として、権利思想と戦後の占領政策を概観し、社会福祉が主として法的根拠としている現行憲法第25 条について、アメリカが起草した日本国憲法草案との関係を中心にその制定過程を考察した。
著者
外崎 紅馬
出版者
会津大学短期大学部
雑誌
会津大学短期大学部研究年報
巻号頁・発行日
vol.67, pp.169-179, 2010-03-25
被引用文献数
1

学校教育における福祉教育は、1977(昭和52)年度にスタートした「学童生徒のボランティア活動普及事業」(福祉教育協力校制度)によって全国的に展開された。現在、「総合的な学習の時間」の創設により、学習課題としての社会福祉への取り組みを行う学校も多くみられるようになった。しかし、そこで取り組まれている学習活動は、募金活動や清掃・美化活動、車いすやアイマスクなどを使っての疑似体験や、高齢者・障害者施設への訪問、交流活動などが中心となっており、学習内容としては、体験から得られる児童生徒の感想まかせで、必ずしも合理性のある意図的な教育活動とはいえない状況である。一方、小・中・高の現職教員そのものの社会福祉についての理解の不足から、福祉教育についての必要性は感じながらも、教育実践について戸惑いがあり、その教育内容にも確信をもてずにいることも事実である。そこで本研究では、現在の小中高等学校の福祉教育の実際について検討を行った。