著者
多々良 源 河野 浩 柴田 絢也
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

スピン伝導現象と制御(スピントロニクス)は基礎科学と応用の両面で緊急かつ重要な課題である。本研究ではスピントロニクス現象において本質的な役割を担っているスピンに作用する有効電場及び有効磁場に関する理論的解析をおこなった。その結果、それらの場は電荷に作用する通常の電磁気現象と同様の数学的構造をもち、これによりエレクトロニクスと同等な信頼性をもつデバイス設計が可能であることが明らかになった。また、スピンの運ぶ情報を電荷情報に変換するためにはスピン軌道相互作用が重要な役割をしていることもわかった。この変換をスピンの電磁気学の観点でみると、磁化の運動からモノポールが誘起されアンペール則により起電力が発生するという新たな現象であることがわかった。このことはスピントロニクスをエレクトロニクスに融合させる上での新たな可能性を示唆している。