著者
池田 次郎 多賀 谷昭
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.397-410, 1980 (Released:2008-02-26)
参考文献数
16
被引用文献数
4 5

全国の地方集団,男性706,女性609を用い,6項目の生体計測値からみた日本列島の地域性を多重判別分析法を用いて検討し,次の結果をえた。i)最も明瞭な地域差は,北海道,本州•四国•九州を含む本土,および南西諸島の間に存在する。ii)本土集団のなかでは,南九州がやや特異な地域である。iii)東中国,近畿,東海,南関東の集団と,奥羽,北陸の集団との差は,比較的顕著である。iv)北海道,南西諸島間の差は大きく,本土集団のうち両集団に近いのは,前者には奥羽,次いで北陸,信越であり,後者には北陸,信越,次いで南九州である。v)地域性は,女性より男性でより明瞭であるが,その傾向は完全に一致する。