著者
大倉 洋代
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.269-275, 2000-12-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

黒糖固有の成分を生かした食品作りを行うことを目的として, 南西諸島の黒糖製造所12か所 (鹿児島県8製造所, 沖縄県4製造所) から収集した黒糖について, 製造工程の聞き取り, 味と色の品質の官能評価及び成分測定を行った. 味覚や成分等の品質と製造方法に関して, 以下の結果を得た.(1) 黒糖の製造工程は, さとうきびの搾汁, 搾汁液の煮沸, 石灰の添加, 浮遊する灰汁の除去, 煮詰めた搾汁液を容器から取り上げ, 放冷し固化する過程を経る.(2) 沖縄産黒糖の色は, 鹿児島産黒糖にくらべて製造所間のばらつきが小さい.(3) 鹿児島産黒糖と沖縄産黒糖の間には, 糖分と水分及びたんぱく質において有意差はないが, 灰分に有意差が認められ, 鹿児島産黒糖には灰分量が少ない.(4) 成分間の関係をみると, 水分と糖分間には負の比例関係が, フラクトース, グルコース, ケストースはスクロースとの間に負の比例関係を有し, 灰分とカリウムの間には正の比例関係が, 1%で有意な差が認められた.