- 著者
-
松本 仲子
小川 久惠
- 出版者
- 日本食生活学会
- 雑誌
- 日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.4, pp.322-328, 2007 (Released:2007-05-02)
- 参考文献数
- 20
煮物の調味は, 一般に砂糖, 食塩, しょうゆの順に時間をおいて行われるが, 調理の簡便化をはかる一法として調味料を1回にまとめて加える方法が考えられる。10種類の煮物について, 調味料を1回にまとめて加える同時調味と従来の順を追って加える順次調味で試料を調製して, 官能評価法により比較検討し, 結果は以下のようにまとめた。 じゃがいもの炒め煮, さといもの含め煮, かぼちゃの含め煮, なすの炒め煮, れんこんの土佐煮, たけのこの直煮, 切干だいこんの煮物, ひじきの炒め煮, 豚肉の角煮については, 総合評価において両方法間に有意差が認められなかった。また総合評価値は順次調味が-0.3~0.5であるのに対して, 同時調味は-0.5~0.4と極めて近い値であり, 同時調味で差し支えないと考えられた。 はなまめの煮物については, 順次調味は同時調味に比し, つやの強弱において1%, 色の強弱において5%の危険率でそれぞれ強いと評価されたが, 総合評価をはじめ他の評価項目においての有意差はみられなかった。しかし, いずれの評価項目においても僅かながら順次調味が同時調味よりも高い評価を得たことから, 順次調味が望ましいと考えられた。