著者
森本 哲夫 大内 義典 芳之内 正幸
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.90-98, 2005 (Released:2006-06-07)
参考文献数
23
被引用文献数
2 4

本研究は,ニューラルネットワークを利用して,温州ミカンの収穫時期における品質(糖度とクエン酸含量)の値を,それまでの品質および気象の時系列データから予測するモデルを開発した.学習およびモデル検証用のデータは,7年間,8~11月にかけて収集された七つのデータセットであり,各データは4点(8~11月)の時系列からなる.このうち六つを学習用に,一つをモデル検証用に用いた.品質に大きな影響を与える気象要因は降雨量と日照時間であり,とくに降雨量が顕著であった.それで2入力(降雨量と日照時間)-2出力(糖度とクエン酸含量)モデルを構築した.入力(気象要因)と出力(果実の品質)の関係は,非線形特性が強く,また実測データのばらつきが大きいので数式によるモデル化は困難であるが,3層のニューラルネットワークを用いて,入力と出力の現在および過去の時系列データを使用し,最適な学習回数,システムパラメータ数,中間層ニューロン数を選ぶことにより,精度の高いモデルを構築できた.