著者
大出訓史 今井 篤 安藤 彰男 谷口 高士
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1111-1121, 2009-03-15
被引用文献数
1

音楽や音響システムの評価に人の嗜好や感性を加えることを目的として,心に何らかの良さを強く感じたときに用いられる"感動"という観点から音を評価することを検討している.著者らは,これまでに心理実験によって感動を表現する言葉(以下,感動語)を分類し,"感動"に含まれる心理状態が一意ではないことを示した.本稿では,分類した感動語を感動評価尺度として,音楽聴取における"感動"を評価させた.その結果,楽曲によって感動評価尺度の評価の傾向は異なり,音楽によって喚起される感動にも種類があることが分かった.また,同じ楽曲を評価した場合に,「感動」を高く評価した実験参加者と低く評価した実験参加者では,音楽の持つ感情価測定尺度の評価値よりも感動評価尺度の評価値にグループ間で大きな差異がみられた.「感動」の評価値は,感動評価尺度の評価値の重み付き線形和で近似できた.Our main purpose was to evaluate acoustical reproduction system or musical broadcast programs from the viewpoint of not only impressions of them but also Kandoh, "emotional affect". Some impressionably pleasant or deeply moving experiences are expressed in Japanese by the term "Kandoh", which is generally accompanied by strong emotion. Words describing the experience of Kandoh were collected and classified. The various types of feelings were included in Kandoh categories. The Kandoh Evaluation Scale was made from these Kandoh categories. In this paper, participants listened to music, and then described their feelings using the Kandoh Evaluation Scale. The results showed different types of Kandoh were evoked by music. The Kandoh Evaluation Scale could explain more adequately than the conventional Affective Value Scale of Music the differences between participants who felt Kandoh or not. The evaluated value of Kandoh was approximately estimated by both the types of Kandoh category and the values of the Kandoh Evaluation Scale.
著者
大出訓史 今井 篤 安藤 彰男 谷口 高士
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1111-1121, 2009-03-15

音楽や音響システムの評価に人の嗜好や感性を加えることを目的として,心に何らかの良さを強く感じたときに用いられる"感動"という観点から音を評価することを検討している.著者らは,これまでに心理実験によって感動を表現する言葉(以下,感動語)を分類し,"感動"に含まれる心理状態が一意ではないことを示した.本稿では,分類した感動語を感動評価尺度として,音楽聴取における"感動"を評価させた.その結果,楽曲によって感動評価尺度の評価の傾向は異なり,音楽によって喚起される感動にも種類があることが分かった.また,同じ楽曲を評価した場合に,「感動」を高く評価した実験参加者と低く評価した実験参加者では,音楽の持つ感情価測定尺度の評価値よりも感動評価尺度の評価値にグループ間で大きな差異がみられた.「感動」の評価値は,感動評価尺度の評価値の重み付き線形和で近似できた.