著者
久保田 竜生 川田 康誠 外山 栄一郎 大原 千年
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.75, no.12, pp.3305-3308, 2014

症例は97歳,女性.便秘,下腹部痛などを主訴に紹介受診.腹部CT検査において,横行結腸に広範な腸重積を認め当院消化器科に入院となった.イレウスの所見はないが,先進部の造影効果は微弱であり,腸管虚血を疑われた.空気整復では解除困難であったため外科紹介となり手術を行った.回腸終末~盲腸は上行結腸内に陥入しており,横行結腸正中まで拡張していた.整復は困難であり,右半結腸切除術を行った.切除標本では,盲腸に壁の肥厚を認め脂肪腫などの存在を疑ったが,病理組織学的所見では,盲腸の肥厚像は粘膜下の浮腫と血管の拡張,線維芽細胞の増生像を認め,持続する循環不全による変化のためと考えられた.これより特発性腸重積症と診断した.術後経過は良好であった.成人に発症する特発性腸重積は稀な疾患であり,今回われわれは,97歳と超高齢者に発症した腸重積を経験した.若干の文献的考察を加え報告する.