著者
大原 慧美 大塚 泰正
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.10, pp.245-255, 2010

職場において受動喫煙防止対策が講じられ, 職場の喫煙環境が急速に変化しつつある現在, 非喫煙者は受動喫煙に曝される機会が減った。しかし, 職場における受動喫煙問題とは別に, 新たな喫煙者・非喫煙者間の問題が生じつつあり, 非喫煙者の中には喫煙者に対して否定的なイメージを持つ者も少なからず存在する。本研究では, 職場において非喫煙者が喫煙者に対して持つイメージに影響を及ぼす要因について, 全国の非喫煙者211名(男性55名, 女性156名)を対象に, 職業性ストレスや喫煙に対する態度等を指標として探索的に検討した。重回帰分析の結果, 非喫煙者の外在的な報酬の低さは, 喫煙者に対する否定的な外見イメージや周囲への配慮不足イメージ, そして反社会的イメージの高さと関連することが明らかとなった。また, 非喫煙者の仕事の要求度の高さは, 喫煙者に対する肯定的イメージの低さと関連することが明らかとなった。以上のことから, 外在的な報酬が高く, 仕事の要求度が低い場合には, 非喫煙者の喫煙者に対する否定的なイメージが改善される可能性が示唆された。