著者
大原 玲子
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.599-604, 2019-06-01

いわゆる先進国では,分娩時に何らかの麻酔を使用する方法が選択肢の1つとして一般的になっている。その歴史は長く,現在に至るまで事象の考察や研究,そして危機管理が進んでおり,安全な医療を提供できるシステムやマンパワーを備えている。日本は先進国のなかで妊産婦死亡率の低さは世界のトップクラスを誇るが,無痛分娩は一般的ではなかった。しかしながら,2010年代より無痛分娩は増加傾向にあり,改めてその安全性を確認し今後の成長につなげるために2018(平成30)年3月には厚生労働科学特別研究班から安全管理体制の構築についての提言が公表された。日本でも今後は産婦の意向を尊重できるよう,安全な無痛分娩を提供できるような医療体制の見直しが期待されている。