著者
里見 和浩 大友 潔
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.362-372, 2014 (Released:2015-07-27)
参考文献数
17

房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)のメカニズムは,房室結節二重伝導路間のリエントリーと理解され,遅伝導路に対するアブレーションが極めて有効である.一方,そのリエントリー回路の解剖学的広がりは,いまだ不明な点が多く,心房筋をその回路に含むかどうかさえ,議論の対象になっている.房室結節から離れた遅伝導路の焼灼で頻拍が誘発不能になること,長い連結期で頻拍がリセット可能であることから,心房を含んだ大きな回路であることが想定される.一方,上位共通路の存在は心房筋を回路に含まない根拠になりうる.さらに本稿ではAVNRTの電気生理学的基質において,いまだ明らかになっていない3つの課題である,(1)下位共通路の存在とlower turn around site,(2)上位共通路(upper common pathway)の特徴,(3)Leftward posterior nodal extensionの役割につき,自験例に基づいて報告した.