著者
大同 茂 難波 克成 小野 恭裕 田宮 隆 大本 堯史
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.12, pp.796-800, 2001-12-20
被引用文献数
1

9歳男児, 思春期早発症を伴った大脳基底核部HCG(human chorionic gonadotropin)-producing germinomaの1例を報告した.頭痛・嘔吐・左不全片麻痺・性早熟を主訴に近医を受診し, CTおよびMRIで右基底核部に腫瘍を認め, 当院紹介となった.入院時, 血清HCG値は90mIU/mlと上昇していた.定位的腫瘍生検を行い, 病理組織はgerminomaで, 血清HCG値の軽度上昇を認めることから, HCG-producing germinomaと診断した.化学療法(ICE療法)および放射線療法(拡大局所照射24Gy)を実施した結果, 血清HCG値は正常化し, 画像上, 腫瘍はほぼ消失した.本症例では, 腫瘍から産生されるHCGのLH作用により思春期早発症をきたしたものと考えられた.