著者
大和 三重
出版者
日本介護福祉学会
雑誌
介護福祉学 (ISSN:13408178)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.16-23, 2010-04-01

今日,高齢者のケアを担う介護労働者の賃金は低く,全産業に比べて早期の離職率が高い.そのため介護の人材不足は常態化し,将来さらに深刻な事態を迎えると予想されている.そこで本研究は介護労働者の定着を促す要因として職務満足度に着目し,どのような職務満足度が就業継続意向に影響を与えるのかについて検証した.分析は介護労働安定センターが2006年に実施した全国調査のデータをSSJデータアーカイブから提供を受け,介護労働者1,292人を対象に,ロジステイック回帰を用いた.結果,職業生活全体への満足度は就業継続意向に正の影響を与え,個別の職務満足度では「仕事のやりがい・内容」「賃金」「人事評価・処遇のあり方」「職場の環境」「職場の人間関係・コミュニケーション」「教育訓練・能力開発のあり方」が影響を与えていることがわかった.今後は賃金の改善だけでははく,個別の職務満足度を考慮した雇用管理の工夫の必要性が示唆された.