著者
榊原 禎宏 大和 真希子
出版者
山梨大学
雑誌
教育実践学研究 : 山梨大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:13454161)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.43-56, 2001

本論文は,教育学領域での教員研修が持つべき条件についての提案とその根拠を授業者,観察者,受講者の3つの角度から提示している。つまり,1.研修では,受講者に多くの気づき,振り返りをもたらすコミュニケーション・チャンネル,対話を促す課題とメディアを用意すること,2.授業者は,受講者がすでに持つ経験や論理を引き出し,それを相対化させる促進者として位置づくこと,またこのための進行役・演技者としての準備,資質・能力が必要なこと,3.受講者にコミュニケーション・スキルを改善する必要性に気づかせ,学校でもリフレクションの機会,そして教師自らが学び,発案する機会をもつように方向づけること,4.そして,授業者は説教や啓蒙としては教えないが,受講者に異なる認識枠を示し,既存の枠組みを疑う材料を提供する,また彼らに問い,困惑,さらに楽しませ,そして表現,提案させる等の点で,すぐれて意図的な教育行為を担うことが重要なこと,を指摘している。