著者
丸山 正隆 大坪 千秋 田中 三千雄 大井 至 上地 六男 竹本 忠良 鈴木 博孝
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.414-427, 1975

1971年11月から1974年2月までの間に単一の検者により前方直視鏡で内視鏡検査を施行された475例中, 130例に潰瘍あるいはその瘢痕以外の何らかの変化を十二指腸球部に観察した. これらの全てが十二指腸炎の所見であるか, あるいは, 所見を認めなかつた例を正常としてよいかどうかはまだ不明であるが, これらの変化の多くは前回の病理組織学的検討と照合して考えた時, 原発性十二指腸炎の種々の所見の反応と考えられる. このうち, 発赤, びらんなどは表在性十二指腸炎の所見といえるが, 生検的には間質性十二指腸炎を獲え難いため, これがどの程度含まれてくるかは不明である. 萎縮性十二指腸炎は日本では稀とされ, 生検でこれを獲えることは困難もあるが, 血管透見, Liver area の出現, 絨毛の萎縮などはこれを示す可能性のある所見として考慮し得る. このほか種々の小陥凹や小隆起は十二指腸炎との関連性を考慮し得る所見である.