著者
平 智 大場 節子 渡部 俊三
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.437-443, 1992
被引用文献数
3 7

エタノールと炭酸ガスを併用した渋ガキの脱渋に関する基礎的なデータを得るため, '平核無'果実を供試してデシケータを用いた脱渋実験と, 約10tの果実を一度に処理できる大型施設脱渋における果実の品質調査を行った.<BR>大型デシケータを用いた脱渋実験の結果, エタノールと炭酸ガスの脱渋剤を同時に処理すると脱渋はわずかに速まるが, 脱渋効果のほとんどは炭酸ガスの作用によることが明らかであった. ただし, 脱渋中の果肉にはエタノール, アセトアルデヒドとも, 炭酸ガス単用の果実よりも多く蓄積した. エタノール処理と炭酸ガス処理を連続して施した場合も脱渋は主に炭酸ガスの作用によって進行した. この場合, 炭酸ガス単用の場合に比べて果肉硬度の低下を若干促進する効果が認められた.<BR>大型施設でエタノール•炭酸ガス併用脱渋における果実の品質を調査した結果, 脱渋は主に炭酸ガスの作用によっており, デシケータを用いた脱渋実験で得られた結果と同様にエタノールを併用することで果肉硬度の低下が若干促進されるものと思われた.