著者
大塚 哲也
出版者
流通経済大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

本研究は、欧州の議論を参照しながら、契約締結過程での情報提供義務違反によって相手方に生じた信頼を契約内容へと取り込むという新たな解釈論を展開するための基礎的検討を行うものである。この研究においては、同様の解釈論が展開されているフランスの議論状況が注目に値するものであるが、これを分析することにより、フランスでは不法行為法が非常に柔軟に利用されており、これを通じて情報提供義務違反の被害者に対して柔軟な救済が認められていることを明らかにすることができた。このため、今後の研究では、この不法行為法の柔軟な活用が契約法の解釈論へとどのように結びついていくのかをさらに探求することが必要であると考えられる。