著者
ロッシャデソウザ ルシオマヌエル
出版者
東京外国語大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29 (Released:2014-09-09)

本研究では、ポルトガル、メキシコなどに残る異端審問記録の分析を主におこなった。とりわけ、16世紀後半に日本に滞在したポルトガルのユダヤ系商人であるペレスという一家に関する記録を中心に分析し、そこから当時の長崎におけるコンベルソ商人のコミュニティの存在や、日本人を含む奴隷の生活などが明らかとなった。その成果を英語の単著で公刊した。さらに、ポルトガル人のアジア(とくに日本)における奴隷貿易について、複数の論文を刊行した。そこでは、16~17世紀の南欧語史料の分析をおこない、世界各地でおこなわれた日本人奴隷の取引に関する記録を紹介した。これらの研究の一部は日本語で出版される。
著者
浜野 喬士
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

論文「肉食忌避・ベジタリアニズム・動物 : 倫理学的動物論と人間・動物関係論」(『叢書アレテイア』第14巻、2012年)では、現代ベジタリアニズムが、(1)動物倫理学的背景(2)環境倫理学的背景、(3)栄養学的背景を持つことを明らかにした。その上で、西洋思想史における肉食忌避の系譜が、ヘシオドス、プルタルコス、ポルピュリオス、ルソー、シェリーらにまで遡りうることを示した。論文「なぜ捕鯨問題は解決できないのか」(『日本の論点2012』、2011年)では、捕鯨問題を、ドイツおよびスイス憲法における動物の位置づけの変化を念頭に、環境問題、「動物の権利」論、応用倫理学から多面的に分析した。従来、捕鯨論において十全に扱われてきたとは言い難かった、問題の思想的背景について、哲学的および倫理学的方面から、1970年代以降の動向に焦点を当てつつ、論点を提示した。この作業を通じ、「人間・動物関係論」という総合的視点から、「動物の権利」や「人間中心主義批判」といったこれまで一般に用いられてきた枠組みを超えて、捕鯨問題を考察するための概念枠組みを示した。
著者
及川 佐枝子
出版者
三重大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

食品に含有するナノ粒子の消化器系における炎症反応の誘導作用を解明するため、ヒトマクロファージ様細胞THP-1および大腸腺癌細胞Caco-2を用い、ナノ粒子曝露による生存率の変化、活性酸素種(ROS)および炎症性サイトカインの産生について解析を行った。二酸化チタンのナノ粒子曝露により、ROSおよび炎症性サイトカインIL-1βの産生が増加する傾向が認められた。また一次粒径が同程度でも、酸化亜鉛の方が二酸化チタンより細胞の生存率の低下およびROSの産生を誘導する事が認められ、粒子の種類により細胞毒性作用、炎症反応誘導の機構に違いがあることが示唆された。
著者
岡本 崇
出版者
筑波大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

輻射輸送は,宇宙物理学において極めて基本的かつ重要な物理過程であり,例えばガスの冷却,大質量星や銀河中心超巨大ブラックホールからの輻射によるガスの光電離加熱や輻射圧による銀河風の駆動など,銀河形成においても無視できない役割を担っているはずである.しかしながら,空間3次元,角度2次元,波長1次元の計6次元を扱わねばならないという多次元性のために,現在までの研究ではその効果はほぼ無視されてきた.本研究では,輻射輸送計算の精度を落とさずに大幅に加速する新たなアルゴリズムを開発し,実際にその性能と精度を確認した.その結果既存のアルゴリズムでは実現不可能であった多数の光源を用いた輻射輸送計算を可能にした.この手法を用いることにより,銀河内の星による輻射性フィードバックの効果等を定量的に調べることが可能になり,銀河形成に対する理解が深まることが期待される.今後は流体計算,自己重力計算コードと統合し,上記の,大質量星や銀河中心超巨大ブラックホールからの輻射が銀河形成に果たす役割を明らかにしていく計画である.また,大規模な銀河形成シミュレーションを行い,銀河のハロー星の起源についても研究を行った.その結果,現在の標準的な宇宙モデルの元では,銀河系のハロー星を説明することが困難であることを明らかにした.
著者
江畑 冬生
出版者
新潟大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

平成25年度には,トゥバ語コーパス資料の作成およびトゥバ語現地調査のための予備調査を行った.(1) 『トゥヴァ語基礎例文1500』およびインターネット上で公開されているトゥバ語新聞記事をもとに,トゥバ語のコーパス資料を作成した.(2) 2014年2月に8日間の日程でロシア・サンクトペテルブルクを訪問し,母語話者でもあるアルジャーナ・シュリュン博士の協力のもとトゥバ語の予備調査を進めるとともに,文献資料の収集を行った.本年度の研究成果として,日本エドワード・サピア協会第28回研究発表会(聖心女子大学),国研名詞化プロジェクト研究会(筑波大学),韓国アルタイ学会(ソウル大学),NINJAL Typology Festa 2014(国立国語研究所)における口頭発表を行った.さらに,『人文科学研究』第133輯,Tomsk Journal of Linguistics and Anthropology 第3号,『北方人文研究』第7号,『北方言語研究』第4号,『日本エドワード・サピア協会 研究年報』第28号に論文が掲載されることになった.
著者
徳井 美智代
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

本研究は、中小企業への入職後に発生する雇用のミスマッチの要因を探求することである。そのため、中小企業の従業者に求められる「コンピテンシー(行動能力)」に着目し、北海道、関東、九州の中小企業3,462社に経営者と従業者を対象にアンケート調査及び聞き取り調査を行い、検討を行った。その結果、1)経営者が求めているのは市場に対応するスキルの向上 2)従業者が求めているのは到達目標の具体的明示とそれに必要な教育訓練であり、そのギャップの存在がミスマッチの要因と関係していることが明らかとなった。
著者
牛島 佳代
出版者
福岡大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

個人化と少子化が急激に進んだ日韓両国において、育児環境と母親のメンタルヘルスについて調査研究を行った。対象としては、日本の福島県中通りの3歳児を持つ母親と韓国大邱市の保育園・幼稚園の園児の母親である。結果、日韓両国において、主な育児支援ネットワークは夫と母親の親であることがわかった。また、この育児支援ネットワークの数が母親のメンタルヘルスを向上させる重要な要因であることがわかった。
著者
新海 宏成
出版者
山形大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-27)

本研究の主たる目的は,サッカーのロングスローインについて,その動作の特徴を明らかにすることであった.大学サッカー選手のスローイン動作を対象として3次元動作分析を行った結果,飛距離の大きな選手には「体幹の大きくかつ効果的なタイミングでの動き」,「前方よりのリリースポイント」といった特徴が認められた.これらの動きは,ボールに対する投球方向への作用力を増大させ飛距離を大きくする効果があり,また視覚的にも判断しやすいポイントであることから指導の現場で有効な評価指標となり得ると考えられた.
著者
戸高 七菜
出版者
一橋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

自傷行為経験者へのインタビュー調査により、行為者は二つの目的をもって自傷行為を行うことがわかった。自傷行為の第一の目的は不快気分の解消である。自傷行為によって、現実感が喪失しているように感じられる離人感や抑鬱感などを、軽減するために行うものである。二つ目の目的は、他者との関係に変化を起こすことである。自傷行為の原因についてはまだ明らかになっていないが、幼少期にトラウマ体験に遭遇している場合が多い。
著者
辻 智子
出版者
東海大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

本研究の主たる目的は、東日本大震災に直面した地域社会の変容・地域共同体の再編の経過をそこに暮らす青年の視点からとらえ、その過程における<青年個人/地域青年集団/地域を越えた青年集団のネットワーク>の足跡を記録するとともに、地域社会にとって、および現代日本の青年たちにとって地域青年集団が果たす役割とその意味を考察することにあった。本研究によって、被災地内外において青年たちが東日本大震災をどのように経験し、そのなかをどのように生きぬいてゆき、さらに今後をどのように展望していこうとしているかを具体的に聴くことができた。それを記録化し、青年たちと日本青年団協議会との共同の取り組みとして冊子『生きる~東日本大震災と地域青年の記録~(第1号/第2号)』(編集委員会編、2012年/2013年)をまとめた。そのことによって記録はより多くの人々と共有するものとなった。このような記録化の取り組みも含め青年団の全国的なネットワークは、被災地への支援活動や被災地の青年たちとの交流・学習を促し、そうした経験を通して一人ひとりの青年が自らの生活や地域を見つめなおしてゆくことを支えていることがわかった。また、各地域の青年集団には歴史的経緯があり、例えば岩手県陸前高田市には60年におよぶ地域青年団活動の蓄積があるが、そのことと現在の地域のネットワークは深くかかわり、災害復旧・復興過程における共同生活や異なる立場の住民どうしの意思疎通、自治を対話的・協力的に進めてゆくことと地域青年集団との浅からぬ関係が示唆された。
著者
谷 幸太郎 栗原 治 金 ウンジュ 酒井 一夫 明石 真言
出版者
国立研究開発法人放射線医学総合研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29 (Released:2014-09-09)

原子力事故後の緊急作業等によって高線量の放射線被ばくを受けた場合には、個人データに基づく線量評価が必要となる。本研究では、甲状腺へ局所的な内部被ばくをもたらすI-131を対象として、人体を再現したボクセルファントムを使用した数値計算により、甲状腺前面の組織厚を考慮した甲状腺残留量の評価を可能とした。また、安定ヨウ素剤服用時の体内動態解析コードを開発し、個人の摂取シナリオを考慮した甲状腺線量の評価を可能とした。これらの手法について、福島第一原子力発電所事故への適用例を示し、有用性を確認した。本研究の成果は、I-131による高線量内部被ばく時の線量再構築に役立つものと期待される。
著者
滑川 亘希
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

本研究では、災害時などライフラインが寸断された緊急時においても、透析患者の応急処置が可能な尿毒素除去フィルターの開発を目的として、尿毒素を吸着するゼオライトを導入したスマートナノファイバーコンポジットを作製した。ファイバーのベースとなる高分子には血液適合性に優れる高分子(EVOH)を用い、電界紡糸法で製膜した。作製したファイバー内には製膜時に配合したゼオライトの90%以上が導入できた。尿毒素の一つであるクレアチニンを馬血清から除去することに成功した。このようなコンポジット材料は、血液浄化材料のほか、配合する吸着粒子を変えることで様々な分子を吸着する不織布として応用できる。
著者
村上 善紀
出版者
東京国際大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

本研究の目的は、組織が高い経営成果を達成するために必要となる、組織内における上司-部下間の情報伝達を促進・阻害する要因を探求することである。 本研究では、研究目的の達成のために、包括的な質問票調査を行い、(1)情報伝達の程度、(2)伝達される情報の内容、(3)情報伝達の促進・阻害要因、を中心にデータを収集した。分析結果からは、(1)情報伝達の程度は、伝達情報の内容に大きく依存すること、(2)促進・阻害要因としては、上司の態度や職場の雰囲気が非常に重要であり、特に部下の学習・成長を促進するようなリーダーシップをとる上司に対して、部下からの情報伝達程度が高い、といった知見が得られた。
著者
福田 朝生
出版者
中央大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

石礫群と水の三次元運動を詳細に解析することが出来る数値移動床水路を用い,混合粒径の石礫による数値移動床実験を実施した.混合粒径中の粒径毎の相互干渉機構を考察するため,移動中の粒子が河床と衝突する際に受ける力を粒径毎に計測した.その結果,大きな粒子ほど鉛直上向きの力を受けて移動していることが明かとなった.球群を用いた数値移動床実験を実施し,球と石礫の両数値移動床実験結果の比較から,粒子運動に及ぼす粒子形状の効果を考察した.球と石礫の粒径別流砂量の比較より,石礫形状の粒子の方が,球と比較し,粒径別流砂量の差が小さくなることがわかった.
著者
岩下 綾
出版者
慶應義塾大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

本研究は、フランソワ・ラブレー作品における描写技巧と描かれたものの形象の分析を通して、描写の同時代的な役割を探るものである。『ガルガンチュア・パンタグリュエル物語』全五作の描写表現を抽出し、各作品が書かれた時代背景を検討しながら、描写技巧と著者の意識の変遷を明らかにした。他方で、ラブレーの描写と当時の造形芸術作品(主に建築)との照応を行い、また日本におけるそれらの先行研究の調査を行った。
著者
後藤 敦史
出版者
大阪観光大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

1855年に来日したアメリカ北太平洋測量艦隊に注目し、19世紀中葉における日本開国の国際的意義について、北太平洋という空間軸のなかで再検討する研究を実施した。本研究を通じて、アメリカ合衆国がペリー艦隊と、北太平洋測量艦隊、および後者の補完事業として派遣した測量遠征隊によって、日本列島を含む北太平洋の科学的情報を収集していったこと、また、これらの一連の測量に対応するかたちで、欧米諸国の測量活動に対する徳川幕府の外交姿勢も変化していったことが明らかとなった。以上の研究成果をうけ、今後は欧米諸国の日本測量の特質と日本側の対応について、通時的に検討することを目指したい。
著者
プタシンスキ ミハウ 桝井 文人
出版者
北見工業大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

本研究では,研究代表者が過去に開発した感情解析システムを融合し話者の感情状態を読み取り会話の場面に柔軟に順応する言語モデルを構築した.また大規模自然言語コーパスに適応し会話内の感情の働きを明らかにすることに貢献した.また,構築モデルを対話エージェントへ導入し,ネット上のいじめの対策という実世界問題へ応用した.話者における怒り,落ち込み等に着目し,いじめの行動を発見することが可能となったため,今後その技術の応用によってネットいじめ被害者数の減少に貢献したい.
著者
吉澤 弥生
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

各地のアートプロジェクトの労働実態を把握すべく、日本、ロンドン、パリでインタヴューを行い、報告書『若い芸術家たちの労働』を制作した。そこでは現場の人々の厳しい労働実態だけでなく、昨今の若年者就労をめぐる構造的な問題が明らかになった。現場の芸術労働者の声を集約した冊子は前例がなく、本報告書は具体的な文化政策の提言や新しい社会運動への展開に際し問題意識の共有や議論の土台として有効に機能するだろう。
著者
齋藤 仁
出版者
関東学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30 (Released:2013-09-12)

本研究では、2001~2011年に降雨に起因して発生した4,744件の斜面崩壊を対象とし、斜面崩壊の規模-頻度と雨量との関係、および台風の影響を解析した。その結果、累積雨量~250 mm、最大時間雨量~35 mm/h、平均雨量強度~4 mm/h を超えると、規模の大きな斜面崩壊の頻度が高くなり、台風の寄与率は最大で約40%であった。また、現在の気候下において斜面崩壊の頻度とそれによる総侵食量を最大にする降雨イベントが存在し、それらの再現期間は約40年以下であることが示唆された(Saito et al., 2014, Geology)。
著者
村井 宏栄
出版者
名古屋学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

本研究では、中世日本語辞書を対象とし、字体認識及び注記構造の解明を目指した。結果、『色葉字類抄』では、多くの部首分類体字書や音義書とは異なり、「作」注記が字体注記と見なしがたい例がまま見られ、「又作」と「亦作」によって用法の相違が認められること、また「亦作」の所在の偏りから編纂過程を考慮に入れる必要性を指摘した。『下学集』では「作」注記の主目的が異表記表示に移行しており、異体字注記形式は「作」から「同字」へと移行してゆき、逆に「作」注記は異表記表示に特化していくという仮説を提示した。