著者
三浦 瑠麗
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究は、先進工業国のデモクラシーにおいて攻撃的戦争を促進する条件を、開戦判断時点と戦争のエスカレーション決定時点に着目して導き出した。安定したデモクラシーにおいては、軍が攻撃的戦争を主導した例は見当たらず、むしろ文民政治指導者が下す開戦決定に対して反対した事例が少なくないことを多様な事例検討を通じて例証したこれまでの研究成果のうえに、より詳細な開戦判断と国内的背景の分析を行った。
著者
山藤 栄一郎
出版者
長崎大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-08-30

日本紅斑熱は、Rickettsia japonicaが原因微生物であり、マダニ以外の媒介生物は知られていない。しかし申請者は、ヤマビル咬傷による日本紅斑熱の発症例に加え、同疾患の13%がヤマビル咬傷後の発症であったことを報告し、ヤマビルを新規の媒介生物の一つと推定している。そこで本研究では、① 千葉県南房総で、ヤマビルの体内からR. japonicaを検出し、② 同地域でヤマビルの吸血被害の実態と、R. japonica抗体保有率との相関を評価し、予防や啓発に役立てることを目標とする。
著者
ロッシャデソウザ ルシオマヌエル
出版者
東京外国語大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

本研究では、ポルトガル、メキシコなどに残る異端審問記録の分析を主におこなった。とりわけ、16世紀後半に日本に滞在したポルトガルのユダヤ系商人であるペレスという一家に関する記録を中心に分析し、そこから当時の長崎におけるコンベルソ商人のコミュニティの存在や、日本人を含む奴隷の生活などが明らかとなった。その成果を英語の単著で公刊した。さらに、ポルトガル人のアジア(とくに日本)における奴隷貿易について、複数の論文を刊行した。そこでは、16~17世紀の南欧語史料の分析をおこない、世界各地でおこなわれた日本人奴隷の取引に関する記録を紹介した。これらの研究の一部は日本語で出版される。
著者
北村 紗衣
出版者
武蔵大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

SNSを利用した大規模な受容の調査については倫理的に問題があり、実施できないだろうという結論に達した。一方でSNSを用いてシェイクスピア劇の受容状況を調査する事例研究については、演劇においては上演中にリアルタイムでのツイートができないためツイッターハッシュタグのあり方が他のイベントと異なっていて活用がしづらい一方、うまくマーケティングツールとして利用している演劇祭や上演もあり、またツイッターを用いて活発に意見交換を行っている観客層も存在することがわかった。
著者
田谷 修一郎
出版者
大正大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

観察者の両眼間距離(右眼と左眼の水平方向の離れ具合)が立体視(網膜像差に基づく奥行きの知覚)に及ぼす影響について検討した。約50名の観察者について,ランダムドットステレオグラムの観察時に知覚される奥行き量を測定した。刺激はPCディスプレイ上に呈示され,アナグリフを通して観察された。観察者の両眼間距離は瞳孔間距離計を用いて計測された。実験の結果,知覚奥行き量の平均値と両眼間距離,および知覚奥行き量のばらつきと両眼間距離の間に負の相関関係が認められた。この結果は,視覚系が網膜像差に基づいて奥行き量を復元する際に両眼間距離情報を利用していることを強く示唆する。
著者
小林 伸行
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究は、我々が発見したヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の潜伏感染特異的遺伝子タンパクSITH-1と気分障害との関連を明らかにすることを目的とした。SITH-1は、細胞内カルシウムシグナルに影響を与え、気分障害と同様の異常が起こることを明らかにした。また、マウス脳にこのSITH-1を発現させることにより、躁およびうつ様行動が引き起こされた。このことから、SITH-1は気分障害発症に関与することが示唆された。
著者
岡 直美
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2016-08-26

ヒトヘルペスウイルス(HHV-)6が疲労やストレス依存的に再活性化する際に発現する潜伏感染タンパク質Small protein encoded by the intermediate stage transcript of HHV-6 (SITH-1) が、うつ病の発症に関与するメカニズムを解明するために、SITH-1発現マウス(SITH-1マウス)を作製したところ、うつ病様行動およびストレス脆弱性を示した。SITH-1の発現は細胞内Ca2+濃度を上昇させるため、嗅球でアポトーシスが誘導され、海馬の神経新生が阻害され、HPA axisが異常亢進し、ストレス応答反応に異常が生じたと考えられる。
著者
丸山 善宏
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

本プロジェクトのタイトルである「数学基礎論と量子基礎論の圏論的統合と機械学習における圏論的双対性へのその応用」はその研究成果の観点から言って主として三つの内容を含む。特に「数学基礎論と量子基礎論の圏論的統合」には二つの意味がある。一つにはそれは「数学基礎論的な空間概念と量子基礎論的な空間概念の統合」である。もう一つの意味は「数学基礎論的な双対性と量子基礎論的な双対性の統合」である。そしてまた最初の統合は「伝統的量子論理と圏論的量子力学のLawvere的統合」をも含んだものである。残る一つが「機械学習(のカーネル法)における圏論的双対性(或は人工知能の双対性)」である。以上が主な研究成果である。
著者
神谷 宣広
出版者
天理大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

ペルテス病(小児大腿骨頭壊死症)は大腿骨頭への血流不全により大腿骨頭の変形・圧潰をきたすとされ、歩行・起立困難となる難治性疾患である。国際的な報告から換算すると我が国では毎年小児600人に発症することが推定されるが本国での正確な疫学調査はない。発症の年齢幅は4歳から10歳に多く活発的な男児に多い傾向があるとされるが、スポーツ活動との因果関係も全く不明である。療育施設に入所して治療に3~4年を要したり、また、学童期に長期の免荷が必要となるため、学校生活・活動が制限されるだけでなく患者を支える家族に大変大きな負担を与える。それでも完全に治るとは限らない。これら病態発症や進行の機序は全く分かっておらず、有効な治療薬もない。対症療法として行われる免荷や手術方法はこの100年間大きく変わっておらず、有効である場合とそうでない場合が混在する。臨床的には病態が大きく悪化・進行する症例が多くあり、その予測が困難であることが挙げられる。本研究は、ペルテス病の病態を解明し、病態に基づいた治療薬を将来確立することを目的とした。本申請書では、その第一段階として、採取したペルテス病患者関節液を網羅的に解析することにより炎症起因物質(サイトカイン)の一種であるインターロイキン6が特異的に上昇していることが確認された。この知見は、ペルテス病患者の股関節MRI検査所見において、関節液貯留や滑膜炎が見られる結果を強く肯定するものであった。さらに、股関節関節液にインターロイキン6を分泌する組織として、関節液に接する関節軟骨が大きく関与している可能性が示唆された。ペルテス病の病態に炎症起因物質が関与している報告は世界的に初めてであり、本研究により今後ペルテス病の病態の理解が大きく進歩することが期待される(これらの新知見は国際論文にて発表した)。
著者
奥村 真衣子
出版者
信州大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2018-08-24

選択性緘黙児は社会的状況で発話や行動が抑制されるため、主体的に対人関係を形成することが困難である。そのため、他児と活動を共有する機会に乏しく、孤立、いじめ、不登校等の集団不適応に陥りやすい。このような不適応状態を未然に防ぐには、発話以前に対人関係の支援を行うことが優先的課題である。本研究では、選択性緘黙児が負荷なく他児と交流することを助けるツールとして、教材や玩具に着目した。これらの使用は専門的技術に依存しないため、教師や保護者等でも活用可能なことが期待される。そこで、支援資料が充実している北米や英国における対人関係支援に有効な教材や玩具を調査し、わが国の実態に合わせた援用方法を検討する。
著者
浜野 喬士
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

論文「肉食忌避・ベジタリアニズム・動物 : 倫理学的動物論と人間・動物関係論」(『叢書アレテイア』第14巻、2012年)では、現代ベジタリアニズムが、(1)動物倫理学的背景(2)環境倫理学的背景、(3)栄養学的背景を持つことを明らかにした。その上で、西洋思想史における肉食忌避の系譜が、ヘシオドス、プルタルコス、ポルピュリオス、ルソー、シェリーらにまで遡りうることを示した。論文「なぜ捕鯨問題は解決できないのか」(『日本の論点2012』、2011年)では、捕鯨問題を、ドイツおよびスイス憲法における動物の位置づけの変化を念頭に、環境問題、「動物の権利」論、応用倫理学から多面的に分析した。従来、捕鯨論において十全に扱われてきたとは言い難かった、問題の思想的背景について、哲学的および倫理学的方面から、1970年代以降の動向に焦点を当てつつ、論点を提示した。この作業を通じ、「人間・動物関係論」という総合的視点から、「動物の権利」や「人間中心主義批判」といったこれまで一般に用いられてきた枠組みを超えて、捕鯨問題を考察するための概念枠組みを示した。
著者
及川 佐枝子
出版者
三重大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

食品に含有するナノ粒子の消化器系における炎症反応の誘導作用を解明するため、ヒトマクロファージ様細胞THP-1および大腸腺癌細胞Caco-2を用い、ナノ粒子曝露による生存率の変化、活性酸素種(ROS)および炎症性サイトカインの産生について解析を行った。二酸化チタンのナノ粒子曝露により、ROSおよび炎症性サイトカインIL-1βの産生が増加する傾向が認められた。また一次粒径が同程度でも、酸化亜鉛の方が二酸化チタンより細胞の生存率の低下およびROSの産生を誘導する事が認められ、粒子の種類により細胞毒性作用、炎症反応誘導の機構に違いがあることが示唆された。
著者
白銀 勇太
出版者
九州大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2018-08-24

ウイルスが宿主の細胞に寄生し自身を再生産する際、宿主細胞の様々な因子(宿主因子)を利用することが知られている。複数のウイルスに共通する宿主因子を発見すれば、その宿主因子をターゲットとすることで、様々なウイルスに効果のある広域の抗ウイルス薬の開発につながると考えられる。本研究ではウイルス同士が共通の宿主因子を奪い合うことで「干渉」しあうメカニズムの解明を通して、複数種のウイルスに共通する宿主因子を発見し、広域抗ウイルス薬の開発につなげていくことを目的としている。
著者
山田 昌樹
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

本研究では,大規模カルデラ形成時の津波リスク評価に向けたモデルケースを確立することを目的として,7300年前の鬼界カルデラ噴火によって発生した津波規模の解明を試みる.本年度は,既に所持していたアカホヤ津波堆積物コアの分析を進めた.具体的には,イベント砂層が津波によって運搬されたものであることを識別するために,堆積プロセスを推定するための粒度分析,砂層の内部構造を観察するためのCT画像撮影,そして供給源を推定するための地球化学分析を行った.また,アカホヤ津波堆積物の空白域である九州地方西岸のデータを得るため,長崎県五島列島においてハンドオーガーを用いた掘削調査を行なった.しかしながら,五島列島の沿岸域は沈降量が大きく,アカホヤ火山灰層の層準まで掘削することができなかった.津波シミュレーションについては,東京大学地震研究所の計算機で「JAGURS」というプログラムを使用した.まずは,カルデラの大きさと崩壊時間を仮定して数値計算を行い,アカホヤ津波堆積物が見つかった地点に到達するのにかかる時間と津波の高さを推定した.その結果,60分かけて崩壊した場合には,カルデラ崩壊の約150~180分後に和歌山県や徳島県,別府湾沿岸地域に3 m以下の津波が到達し得ることが明らかになった.現在は,カルデラ崩壊のパラメーターを変えながら繰り返し数値計算を実施している.加えて,火砕流の流入による津波シミュレーションにも取り掛かり始めている.
著者
小林 卓也
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2016-08-26

本研究は、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの哲学を自然哲学として提示し、その内実を明らかにすることを目的としている。前年度は、後期の著作である『千のプラトー』(1980)におけるイェルムスレウの言理学および地質学の議論の分析を中心に、ドゥルーズ=ガタリの自然哲学における非人間主義的特性を明らかにした。今年度は、前年度の研究結果を踏まえ、①ドゥルーズの自然哲学に対する哲学史的影響、および、②その自然哲学がいかに現代の人文科学に継承されたのかを明らかにすることで、とりわけ英米圏の人文科学に対するドゥルーズおよびガタリの自然哲学の理論的影響を特定する作業を進めた。
著者
辻 智子
出版者
東海大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究の主たる目的は、東日本大震災に直面した地域社会の変容・地域共同体の再編の経過をそこに暮らす青年の視点からとらえ、その過程における<青年個人/地域青年集団/地域を越えた青年集団のネットワーク>の足跡を記録するとともに、地域社会にとって、および現代日本の青年たちにとって地域青年集団が果たす役割とその意味を考察することにあった。本研究によって、被災地内外において青年たちが東日本大震災をどのように経験し、そのなかをどのように生きぬいてゆき、さらに今後をどのように展望していこうとしているかを具体的に聴くことができた。それを記録化し、青年たちと日本青年団協議会との共同の取り組みとして冊子『生きる~東日本大震災と地域青年の記録~(第1号/第2号)』(編集委員会編、2012年/2013年)をまとめた。そのことによって記録はより多くの人々と共有するものとなった。このような記録化の取り組みも含め青年団の全国的なネットワークは、被災地への支援活動や被災地の青年たちとの交流・学習を促し、そうした経験を通して一人ひとりの青年が自らの生活や地域を見つめなおしてゆくことを支えていることがわかった。また、各地域の青年集団には歴史的経緯があり、例えば岩手県陸前高田市には60年におよぶ地域青年団活動の蓄積があるが、そのことと現在の地域のネットワークは深くかかわり、災害復旧・復興過程における共同生活や異なる立場の住民どうしの意思疎通、自治を対話的・協力的に進めてゆくことと地域青年集団との浅からぬ関係が示唆された。
著者
岡本 崇
出版者
筑波大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

輻射輸送は,宇宙物理学において極めて基本的かつ重要な物理過程であり,例えばガスの冷却,大質量星や銀河中心超巨大ブラックホールからの輻射によるガスの光電離加熱や輻射圧による銀河風の駆動など,銀河形成においても無視できない役割を担っているはずである.しかしながら,空間3次元,角度2次元,波長1次元の計6次元を扱わねばならないという多次元性のために,現在までの研究ではその効果はほぼ無視されてきた.本研究では,輻射輸送計算の精度を落とさずに大幅に加速する新たなアルゴリズムを開発し,実際にその性能と精度を確認した.その結果既存のアルゴリズムでは実現不可能であった多数の光源を用いた輻射輸送計算を可能にした.この手法を用いることにより,銀河内の星による輻射性フィードバックの効果等を定量的に調べることが可能になり,銀河形成に対する理解が深まることが期待される.今後は流体計算,自己重力計算コードと統合し,上記の,大質量星や銀河中心超巨大ブラックホールからの輻射が銀河形成に果たす役割を明らかにしていく計画である.また,大規模な銀河形成シミュレーションを行い,銀河のハロー星の起源についても研究を行った.その結果,現在の標準的な宇宙モデルの元では,銀河系のハロー星を説明することが困難であることを明らかにした.
著者
長谷川 裕峰 寺井 良宣 藤平 寛田
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

本研究課題の調査対象とした未翻刻史料群『阿弥陀房抄』は各研究機関に散在しており、その存在は知られていたが、本格的な研究は僅少であった。そこでまず、叡山文庫円覚蔵19冊、叡山文庫真如蔵13冊、叡山文庫天海蔵『義科抄』の内4冊、西教寺文庫正教蔵27冊、早稲田大学図書館教林文庫所蔵19冊を史料収集し、考察対象とした。また、その撰述者である阿弥陀房宗厳の来歴等に関して、同時代史料から検討を進めた結果、本史料群は当時の天台学における最高水準であった探題職が残した論文集としての性格を読み取ることに成功した(「『阿弥陀房抄』覚書」、『坂本廣博博士喜寿記念論文集 佛教の心と文化』、2019年)。